2014年10月23日木曜日

本番当日の不安に、前もって現実に即したプランを立てておく

以前、本番当日の自分の行動についてあらかじめ見通しを立てておくことが本番の演奏にとても役に立った、というお話をブログに載せました。
(その時の記事はこちら➡︎http://sukoyaka-trb.blogspot.jp/2014/01/blog-post_26.html?m=1



つい先日のレッスンでそのことを話していて、そのレッスンを受けていた方から「本番当日で役に立った」と嬉しいご報告を頂いたので、そのことについてまた考えてみました!



本番の日は、普段なかなか味わえない緊張感とともに、想定外のことが起きることもよくありますね。
僕は、お客さんの存在や演奏するステージ、共演者、またコンクールやオーディションでは他の出場者・受験者たちの存在から刺激をうけて不安になったり、これから行う演奏に対してネガティブな考えになったりすることがあります。



僕にとって、特に不安になったり、頭が真っ白になりやすい三大ポイントは、

①(コンクールやオーディションで)楽屋や舞台袖で他の演奏者の演奏を聴いたとき。
②舞台袖からステージ(お客さんの前)へ出ていくとき
③演奏中に、練習であまりうまくいかなかったフレーズ、音にさしかかったとき

です。
一つ目と二つ目は、本番当日じゃないと経験できないことだと思います。
でも、演奏会に出演する・コンクールやオーディションを受験するといった経験があれば、あらかじめ予期することもできますね。


つまり本番当日にしか起こらない不安や緊張についても、前もって考えて準備しておくことができたのです。


①本番前に楽屋や舞台袖で他の受験者の演奏を聴いて不安になる…

これに対して、僕自身にとても役にたったのは、とってもシンプルですが、あらかじめ「他の人の演奏も聴く!」と決めておくことでした。


「決めておく」という部分がポイントで、なぜならコンクールやオーディションで他の受験者の演奏を聴かなくて済むことは、ほとんどあり得ないからです…!


以前は、他の人の演奏を聴いてしまうことがかなりおっくうでした。自分の演奏と比べてしまい自信を無くしてしまい、ウォームアップやリハーサルに集中できなかったからです。



けれど、聴いてしまうことを避けるのは現実的ではありません。

音だしはしておきたいし、部屋の外にいたって聞こえてくるし、本番前は舞台袖で前の人が演奏し終えるまで待機しないといけないし…!


なので聴くことを避けようとするのは現実に反してしまいます。
それこそ、余計なことに注意と労力を注いでしまっていました。



そこで、「他の人の演奏を聴く」と決めたのです。


僕の経験ですが、これを決めておいたことで、他の人の演奏を聴いても自分と比べたり、不安になったりしなくなりました。
いつもより「聴く」が積極的なので、それぞれの演奏が個性的で、自分の解釈・演奏とは違うことがよくわかります。
そのとき、自分の演奏が劣っているとか上手いとかではなくて、ただ違うんだな。それは当然のことだな。と思えました。


そして受け入れてしまえば、自分の音へも集中しやすいのでした。


ウォームアップやリハーサルに集中できると、本番でのいい演奏にも繋がりやすいですね。





こんな風に、自分が不安になりやすい場面について、前もって考えて、現実に即したプランを準備しておくことが、本番でパフォーマンスを引き出すことに役立つのではと思います(^^)


②と③についても、次回の記事で書きたいと思います。





森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い
























2014年10月2日木曜日

唇スタッカート!

僕は、スタッカートのついた音符を演奏することに苦手意識を持っていたのですが、このごろ改善の兆しが見えてきたのでそのことについて書いておこうと思います。


具体的に、こういう傾向がありました。
・響きがとまってしまう
・音が鳴らないことがある

スタッカートというと、音を分離させる、とか、短くすると解釈することが多いです。
短い音を吹くときに、響きがとまってしまったり、うまく発音できなくなるのはどうしてなのか考えて見ました。


そこで気がついたのは、音が鳴り始めるまでの動き。
つまり、発音する動作です。

音が鳴るまでの、音を発音するために起こる動きは、長い音を吹くときも、短い音を吹くときも、同じ動きなのではないかと思います。


発音するために起こる動きは、主に唇を閉じあわせる、唇とその周辺の動きのこと。(もちろん、他にもあると思います!今回気がついたのは唇についてでした。)


音を短くするために、発音するという動作自体も短くしようとしていたのか、原因ははっきりとわかりませんが、唇を動かないようにと止めていました。

でもそれは、そもそも音を発音するために必要な動きを止めていたことになるのですね。

響きがとまったり、鳴りにくい理由はここにあったように思います。


スタッカートを演奏するために、唇もその周辺も動けるようにしてみよう。

そうすると、音も当たりやすく、響きもとまることはほとんどなくなりました!


始めは単発の音で効果を感じていましたが、スタッカートの八分音符を連続して演奏するような場面でも、一音一音に対して、唇とその周辺による発音という動作が毎回繰り返し起こるんだと思うと、これまた響きがよくなり、一つ一つの音が以前よりもクリアになりました。


ちなみにこれは、先日オーストラリアから来日していたアレクサンダーテクニーク教師のグレッグ先生とフルート奏者の方とのレッスンからヒントをもらいました!



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年9月25日木曜日

本番当日のウォームアップ

先日は、兵庫県三田市にてホルン、トロンボーン、ピアノによるアンサンブルコンサートに出演させて頂きました。
一時間半の演奏時間を頂き、当日のリハーサルも時間をかけて行える本番は久しぶりでした!


会場に着いて、楽器を取り出し、ウォームアップをしているときにあれっ?と思ったこと。


「ウォームアップって何すればいいの?」
「ウォームアップってどれくらい時間をかけたら適切なんだ?」

ふと、そんなことを思いました。
普段の練習のときには、そんなこと全然気にしたことがなかったのですが本番当日になって、急に不安になってきたのです。

そこで、改めてウォームアップの目的と、どういう意図をもってするか、決めることにしました!


まずこの時点で、身体が緊張していつものように吹けないなあと感じていました。
自分のウォームアップの取り組み方が、「前の感覚を取り戻すこと、いい感じに吹けているときの感覚を再現すること」になっていたことに気がつきました。



前にいい感じで吹けていたときと、そのときの感覚を感じようとしているときとでは、目的もやり方も全く違うものになってしまいます。
そもそも全く同じ結果を再現することはできませんし、いい感じに吹けていた時のように吹くには、そのときにどんな意図でどんなやり方で演奏していたか考える必要があります。

そのときの感覚を、直接感じよう・再現しようとしていたからうまくいかなかったのですね。


そこで、ウォームアップをする際に、こんなプランを意識してみました。


今の自分の状況(久しぶりの本番を目前に昂ぶっている)をそのまま受け入れて、
これから生み出す音のことを明確に考えて、
頭が動けて身体全部がついてきて、
音を奏でる。





そうすると、普段より昂ぶってドキドキしたりソワソワしたり(いわゆる緊張)しながら、さっきよりも身体は自由に動けるようになり、音の鳴りもよくなってきました。


それでも、普段よりも緊張で興奮しているので、音がひっくり返ったりします。

なので、上のプランを何度か繰り返し、出したい音を出すために、今日の自分の身体はどんなふうに反応するかなあ?と観察しながら問いかけるようにしていきました。
そしてうまく反応しなくても、出したい音のイメージを持ち続けながら上のプランを繰り返してみました。

それを色んな音やスケール、アルペジオでやっていくと、だんだん反応がよくなって、コンディションが整ってきました。
「ああ、ウォームアップってこれでいいんだな。」と思いました。



やがて、コンディションも整い、自分自身を信頼できるようになって、自然と演奏曲のリハーサルへと移ることができました。


そういえば、以前の、「吹けてる時の感覚を再現しようとしていた」ころは、この自分への信頼がなかなか得られませんでした。


今回、本番当日にウォームアップについて考えることができたのはいい経験でした!
僕は人前で演奏するという経験自体、まだ浅いので、これから探求していけるポイントの一つかなと思いました。

今回のアイデアは次回も試してみたいと思います。




森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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アレクサンダーテクニークとの出会い










2014年9月5日金曜日

僕はマウスピースが唇の左側にあたる。

「どうやったら左右対称になるか。ではなく、どんな変化を望んでいるのか。」
昨日のボディチャンスプロコースでの、きみこ先生の言葉。


左右の脚で柔軟性が違うのはなぜか?というテーマのレッスンの中で出てきたものです。
そもそも人の動きは、左右非対称であることが多いようです。


金管楽器の演奏技術の習得についても同じことが言えるのではないかな?と思いました。

「マウスピースが中心からずれている➡︎中心にくるようにしなければ」
「姿勢が悪い、ベルが下がっている➡︎正しいフォーム・角度にしなければ」
さらには、「それができないと、上手くはなれない」
という考え方。これって少なくないと思うのです。

僕自身、そのような考え方をもとに練習に取り組んだ経験があります。

人から、そういうことを言われたこともありますし、自分の演奏を鏡などで見たときに「マウスピースがかなり左に寄ってる…これって良くないんじゃないか?」と思ったり。

それからマウスピースが真ん中にくるように意識するようになりましたが…吹きにくい…。

というかほとんど音が鳴らない。


また、姿勢が悪いからと、背筋を伸ばして練習していると…背中や腰が痛い。

でもそうしないと上手くなれない、音が鳴らなくても背中が痛くても耐えて練習して、マウスピースが真ん中にくるようになり、姿勢がよくなれば上手くなれるんだ!
と信じて取り組み続けましたが、一向に良くなる兆しもなく根をあげてしまいました。


これは僕の個人的な経験ではありますが、マウスピースが中心でないと上手くなれない。この姿勢、この角度でなければいけない。というのは、万人に対して言えることではないんじゃないかと思うんです。


そこで、思い出したいのは、何のためにそれに取り組んでいたのかということ。
音が鳴らなくなったり、身体が痛くなってまで正しい(と言われた)位置・姿勢・角度に執着するのは、目的からずれているように思えます。

そもそもは、より上手くなるため、演奏しやすくなるため、にレッスンを受けたり、情報収集したり、自分で考えたりしますよね。

だから「どうやったら左右対称になるか。ではなく、どんな変化を望んでいるか。」なんだと思います。


「うまくなるために、マウスピースは真ん中のほうがいいかもしれない」というアイデアがあるのなら、「うまくなるために、マウスピースの位置は左右対称でなくていい。吹きやすいところにあててやればいい。」というアイデアもアリだと思います。





箸でものをつかむことが利き手の方がやりやすいように、マウスピースの位置もどちらかにずれている方が、その人にとって吹きやすいということは、考えられます。

去年の夏、バジルクリッツァーさんのレッスンを受けたときもマウスピースの位置がずれていることに関してたくさんヒントを頂きました。
その時の記事は下記リンクからご覧になれます。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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アレクサンダーテクニークとの出会い













2014年8月28日木曜日

息を積極的に使うことと、目的

8月23〜25日、滋賀県マキノで開催された山下浩生先生のトロンボーン合宿に参加してきました。


僕にとっては大学を卒業してから、トロンボーンの演奏を見て頂ける貴重な機会です!それにたくさんのトロンボーン吹きの方々の演奏が聴けたり、一緒に吹かせて頂いたりでとても刺激的な合宿でした(^-^)

昨年に引き続き、アレクサンダーテクニーク教師のバジルクリッツァーさん、さらに今年はアレクサンダーテクニーク教師の山口裕介さん、ステージメンタルカウンセラーの大村まりさんの講座を受講することができ、とても充実した3日間でした!


とくに今回の合宿で気づいたことが、人前で演奏するときや、アンサンブルの中で吹くとき、レッスンで吹くときに、どうも調子が悪くなってしまうことについて。


とんでもなく緊張しているわけではないのに、音が出しづらくなってしまったりするのです。


バジルさんのレッスンを、見学してる方達の前で受講したときも、同じことが起こりました。

そのときは「緊張で硬くなってるのかなあ。力みすぎてるのかなあ。」なんて考えてましたが、



バジルさんからは、

「楽器を持ちあげる動きも、スライドを右手でつまむことも、スライドを動かすことも、マウスピースを口にくっつけることも、アンブシュアも、息を吐くことも、タンギングも全部積極的にやってみて」と。

そこで、そのそれぞれの動作、つまりトロンボーンを演奏することを積極的に力を使ってやってみると、だんだんと音が安定してくるようになりました。


自分の中では、音が出づらくなるのは、力の入り過ぎが原因だと思っていたので、余計な力を抜くことばかり考えていました。
けれどバジルさんの提案のように、より積極的に力を使う(必要な動作を明確に行う)ことで、調子が良くなっていったのでした。



その後のアンサンブルの練習で、さっそく試してみようとしましたが、なかなかうまくいきません。

どうしてだろう…


頭の中では一つ一つの動作を積極的にやろうと考えていても、実際に吹くときに消極的になってしまうのです。特に息を吐くとき、タンギング、スライドを動かすときに顕著でした。


まだその新しいやり方に慣れていないからそうなってしまうんだろうか。
でも1人で練習しているときはうまくいきます。

では、なぜ人前やアンサンブルの中だと、演奏のための動作が消極的になってしまうのか。

それは、そのとき自分の考えにある目的・望みと、用意した新しいプラン(やり方)が合ってなかったのだと思います。


アンサンブルの中で吹くとき、「間違えないように」「外さないように」「迷惑をかけないように」といった考えが強くありました。

演奏中に「間違える」「音を外す」「足を引っ張っている」という自分にとって嫌な事態を避けようと思えば、最終的には「吹かない。アンサンブルのメンバーから抜ける。」という手段があることに気づきました。

当たり前ですが吹かなければ、間違えることも外すこともありません。


おそらく、これらの考えが強いきっかけになり、レッスンで得た新しいプラン(演奏するために必要な動作を積極的に行うこと)とは反対に、演奏を消極的なものにさせていたのだと思います。


では、楽器を吹きたくないのかといえば、そうではありません。
楽器が吹きたくて合宿に参加したわけで、アンサンブルもしたくて参加したんです。


演奏したいという思いがあるんだから、新しいプランはそっちにつなげてやればいいじゃないかと考えました。


そこで、改めてアンサンブルの楽譜を眺めて、周りで鳴っている音を聴いて、演奏しているメンバーを見て、そうしていると、ふとその曲がすごく好きな曲であることと、トロンボーンのアンサンブルが好きなことを思い出しワクワクし始めました。

自分もこのメンバーの中で演奏するために、「楽器を持ち上げることも、アンブシュアも、息を吐くことも、タンギングも、スライドの操作も全部積極的にやろう」と思って演奏すると、さっきよりも自分の思ってるタイミングできれいに発音できる箇所が増えました。
とくに空気がより積極的に動くようになったのがわかりました。



ボディチャンスのアレクサンダーテクニークレッスンでは、自分が何をやりたいのか、という部分がとても大切なのですが、それを改めて実感しました。






森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年8月12日火曜日

うまくなるために、選択する


ボディチャンスでアレクサンダーテクニークを学びはじめて1年が経ちました。


1年前のぼくは、長らく苦しんでいたあがり症やトロンボーン演奏の不調を乗り越えるためにアレクサンダーテクニークを学びはじめました。


長い間解決できなかった不調もだんだんと良い方向にむかい、あがり症についても、以前よりステージ上で自分の力を出すことが少しできるようになってきました。


しかし、だんだん良い方向へ向かっている実感があるにも関わらず、演奏がボロボロになってしまう本番、リハーサル、状況もあります。


どうもアレクサンダーテクニークを学ぶ中で、演奏にいい影響をもたらしてくれたアイデア・考え方・取り組み方と、自分が演奏という行為をするために必要だと信じている考え方・取り組み方に大きな違いがあるように感じます。


それは、
・人前で演奏するなら、努力しなきゃいけない。でないと聴いてくれる人達に失礼だ。できないところがあるなら、聴いてもらう価値がない。という考え。


だから、できるまで練習しなきゃならない。できないなら自分のやっていることに価値はない。

そう信じて、今まで練習に励んできた。



練習をいくら繰り返しても、思うように上達せず、それは努力が足りないからだと、さらに自分のできないところを指摘して、練習を繰り返す…
そうしていれば、いつか努力が報われてできるようになるんだと信じていました。


けれど、その結果は、ちっともうまくはならず、それどころかどんどん調子を崩して、体を痛めて、演奏するということが人前で自分のできないところを晒す苦痛の時間となってしまい、自信を失って演奏する意欲も削がれてしまいました…。

結局、努力が足りてない、自分には根性がないんだ、だから上手くなれないんだ。と思っていました。


でも待てよ?
今までの取り組み方や考え方は、そもそも楽器の上達を促してくれているか?

一向に上達しないのは、本当に努力が足りないからなのか?

じゃあもう諦めるしかない?


僕は、これからも楽器を続けたいし、上手くもなりたい。そして
演奏したい曲もたくさんある。


自分の望む演奏に近づくためには、何をすればいいんだろう。


これまでの自分にとっての努力のやり方、自分に対して批判的な厳しさは、うまくなることに繋がりませんでした。


アレクサンダーテクニークを学ぶ中で、上達を促してくれたのは、

・演奏することが、自分にとってどんな意味を持つのか明確になること

・自分のやっていること(できないところも含めて)に興味をもつこと

・そして、自分に協力的になること

これは、今までぼくが演奏・上達に不可欠だと信じていたこととは、大きく違います。
でも、確かに自分の望む方向へと進んでいけるのはこっち。
だったら、今まで信じてきたけれど役には立っていなかったルールを外して、どうやって取り組んで行くか新たに選択していけばいいんじゃないか!


そう思ったら、今まで自分が信じてきたことより、現実的で建設的な素晴らしい考え方を実践している人達・それを教えている人達がいることに気がついた。

ぼくにとっては、アレクサンダーテクニークがそのひとつ。


一変に変えられるわけじゃないけれど
これまでの演奏とその上達への取り組み方が、自分の中で少しずつ、大きく変わろうとしています。







ブログの更新がかなり久々になってしまいました。
これからまた、健やかにトロンボーン演奏を上達していくために、学びを重ね、ブログの方も更新していきますので、読んで頂けたら嬉しいです。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
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2014年8月9日土曜日

ルシア先生とのレッスン



アレクサンダーテクニークを学び始めて一年と少しが経ちました。

そのなかでの学びは、今の自分の音楽活動にとても役立っています。
中でも、とても嬉しいのが、楽器や音楽に対する興味・好奇心・意欲が自然に沸いてくるようになったことです。

というのも、僕は2年前、音楽大学を卒業するころ、音がまともに出なくなるまでの激しい不調に悩みました。リハーサルや本番で恥をかきたくない、失敗したくないという思いが強くなり、今までできていたことまでできなくなってしまうという悪循環を引き起こしました。
ちょうど大学を卒業する直前、演奏家としての道を歩みたいと思っていた時期だったので、大変ショックでした。

卒業して、「今までと同じ頑張り方では、これ以上の上達は望めないしとても楽器を続けられない」と感じたぼくは、しばらく楽器の練習を休むことを決意しました。

しかし、その決意とは反対に、楽器を練習しない自分を心の中で責め続けていました。
休むことを実行していたけれど、認められていなかったんです。


やがて、「練習しなきゃダメだぞ。」という心の声に突き動かされ、練習を再開するようになりました。
休んでいたことで、凝り固まっていた身体の緊張はいくらか緩和されていたので、最初の方は以前よりラクに音がなりますが、やがてまた身体が緊張し音が鳴らなくなる状態まで戻ってしまいました。


それから1年後、アレクサンダーテクニークと出会い、それ以降BODYCHANCE でレッスンを受け続けています。

自分の持つ様々な思考が、身体の緊張を引き起こしたり、また自由にしてくれることを体験しながら学び、実際に長く苦しんでいた不調からだんだんといい方向へ向かい始めました。

確かにいい方向へと向かってはいたのですが、不調になる以前の、気持ちよく吹けていたころのような、「演奏する気持ちよさ、心地よさ、楽しさ」を感じることがありませんでした…




今年の5月、来日していたアレクサンダーテクニーク教師ルシア・ウォーカー先生のクラスの中で聞いた言葉が印象に残りました。

「自然に湧き上がった衝動から生まれた動きは美しい。それは人が本当にやりたいことをやることが美しいということなのかもしれない。」


その言葉を聞いた僕は、「自分は本当に吹きたくて楽器を続けているんだろうか?」と疑問に思いました。
それは僕が「練習しなくちゃいけない」という思考の中で、楽器と向き合い続けてきたからです。

そこで、ルシア先生に、
「自分が楽器を吹きたいと思う衝動が沸いてくるのを待ってみたい。そのためにルシア先生のサポートを受けたい」ということを相談しました。

幸いに、ルシア先生のクラスは3日間続けてあるので、
「わかったわ。それは時間をかけて探究しましょう。3日間のいつでも、何か衝動が沸いてきたら声をかけて」と快く引き受けてくださいました。


いつもだったらクラスの中で楽器演奏をレッスンしてもらいますが、この日は吹きたいという衝動を待ちながら、他の人のレッスンを聴講していました。


クラスが終わってから、いいようのない不安に駆られました。
「この3日間、楽器を吹きたいとみじんも思わなかったらどうしよう。」
今まで練習しなきゃいけないという思考をモチベーションとしていたところが大きかったので、それがなくなった自分は楽器を吹きたいのかどうか…不安と悲しさがどっと押し寄せてきました。

三日目、ルシア先生のクラスの最後の日。
僕は、楽器を吹きたいという衝動が起こらなかったことを話しました。

「ちょっとここで、楽器を出してみない?吹くか吹かないかは決めなくていいから。」とルシア先生。

ルシア先生のサポートを受けながら、まるで初めてトロンボーンという楽器に出会うように、楽器を眺め、手に取り、重さを感じて、また細部から全体を眺めます。

ケースを開けて楽器を組み立てて、音を鳴らすまで、こんなに長い時間かけたことがないくらい、ゆっくりとトロンボーンを感じ、眺めました。


そして楽器を吹きたいと思っていないことを認めるのを恐れている自分に気がつき、涙が出てきました。


「手放すことができたら、その吹きたいという衝動はやがて帰ってくる」
ルシア先生のその言葉に励まされ、2年前にやろうとしてできなかった、「楽器を吹かなくても、練習しなくてもいいんだ。」ということを自分に許すことができました。


それからの一ヶ月間、生活のなかで様々な変化が起こりました!

クラシックやトロンボーン、吹奏楽の演奏が聴きたくなり、演奏会に足を運んだり、CDを購入したり。
また吹奏楽を演奏したくなって、地元の吹奏楽団に入団することになったりと、心から音楽をやりたいという衝動が起こり始めたのです。

そして楽器を演奏したいという衝動にいろんな種類があることに気がついたのです。

今日はこの曲を演奏したい。このコンチェルトにチャレンジしてみたい。こういうところをもっとうまくなりたいなどなど。

そうするとその衝動によって、演奏する曲や練習の内容は様々です。


今まで僕は、本番以外の日=練習=うまくならなきゃいけない時間と考えていました。
しかし、それではやがて疲れてしまいモチベーションは長続きしません。
それに楽器を続けているのは、演奏することが好きだからです。
本番でなくても、演奏することを楽しむ時間があっていいですよね!

そして、今日は楽器を吹かないでいいや!という選択肢があることも!

それに気がついたおかけで、音楽が自分のなかでどれだけ大切な存在かを、思い出すことができました。


アレクサンダーテクニークを学び始めるとき、ぼくの第一の目標は、心身ともに健やかにトロンボーンを演奏し続けることでした。
その目標がようやく実感となって現れ始めているように感じます。

そしてこれからも、続けていこうと思います。



◆プロフィール◆
 

森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
大阪府高槻市出身。
大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりbodychance アレクサンダーテクニーク教師養成課程で学び、2015年8月ボディシンキングコーチ資格を取得。
宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生氏の主催するトロンボーン合宿にてレッスンを行うほか、大阪で「トロンボーン奏者のための身体の使い方」1日セミナーを開催。また学校吹奏楽部への出張レッスン、音大生など音楽家との個人レッスン、アイディア音楽センターでレッスンを行っている。
bodychance認定ボディシンキングコーチ


グループレッスン予約受付中です。











2014年6月8日日曜日

脚と呼吸は関係してる!




6月から、地元の吹奏楽団に入団しました。
今日その楽団の合奏練習に参加したときの話なのですが、


今日はウォームアップも気持ち良くできたし、久しぶりの吹奏楽で、ワクワクしながら合奏に出ました。

ところが、いざチューニングが始まると…

目の前にいるユーフォの人が一人で吹かされたり、トランペットも一人ずつ吹かされたり(よくある光景なのですが)…
そんな光景を見ていると、だんだんドキドキ緊張してきて、
曲が始まっても、途中で止まっては、「このパートだけで」「このメロディだけで」という指示が出るたびに、自分じゃないのにドキッとして…

ほんと、よくある光景なんですが、ぼくはこれがとっても苦手なんです(笑)

今回のブログは、「そんな練習しないでおくれよ」という話ではなく(笑)、そんな状況に出くわした時に、自分の習慣的な反応を変えることはできないか。という話です!



で、そんな光景を目の当たりにしながら自分が吹く場面になると、
「間違えちゃいけない」
「音外しちゃいけない」
「指揮者に捕まりたくない」
って思いが強烈に自分を支配して、呼吸が浅くなり、息が全然入らなくなってしまいました。


こうした考えを変える必要があることはわかっていても、その場で変えることは簡単ではありません。
「考え」に直接アプローチしても、あまりうまくいかない時があります。

そんなとき、ふと、今身体はどんなことをしてるだろう??
と、観察してみると、

「あれ?ウォームアップしてたとき、こんなに脚を閉じてたっけ?」


それに気がつくと、脚の付け根の関節(股関節)がじんわりと緩んでいきました。

脚を閉じていたのが問題なのではなく、脚を胴体の方にギュッと引き込むように閉じていたことで、身体全体の自由を奪っていたのでした。


さてギュッと胴体の方に引っ込んでいた脚が、股関節から緩みだすと、胴体が自由になり、呼吸もしやすくなって、さっきまでの「あー、今日はうまくいかない。絶対外れる。そんで何回も吹かされる。」といったネガティブな思考モードが、「まだドキドキしているけれど、胴体が自由になって呼吸もしやすくなって、案外吹けるかも!」と前向きな考えにコロっと変わりました!


演奏してみると、やはり息が吐きやすく、吐いたあとは身体に自然に入ってくるので、気持ち良く演奏することができました。
脚って呼吸に関係してるんだなあと、改めて実感しました。


さらに、観察していると、
「指揮者からトロンボーンや他の楽器に指示があったとき」
「外しちゃいけない、ずれちゃいけないと考えてるとき」
「となりの奏者が、こちらを向いたとき」
のような刺激があると、「ちゃんとやらなきゃ」と思うと同時に、脚を胴体の方に引っ込む動きが起こりました。


そんなときに、「脚はギュッと引き込まなくてもいいんだよな〜。演奏するために脚も動けていいんだ。」
ということを思い出すと、脚はゆるんで、「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちの緊張もやわらぎました。



演奏には直接関係なさそうな、脚の習慣的な動きが、実際には演奏でとても大事な呼吸に大きな影響を与えていたのでした。


気づきや学びもあったし、合奏も楽しめたし、充実した練習でした(^^)



ちなみに、脚の付け根の股関節はコチラ!
(bodychanceの骨格標本です。)



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
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2014年6月1日日曜日

パートで演奏がなかなか揃わないのは、どうして?

昨日、母校の吹奏楽部の練習に顔を出して、トロンボーンパートの練習に参加してたときのこと。



トロンボーンの生徒が2人で練習していたのですが、ある曲のユニゾンのフレーズがなかなか揃わないようでした。



どうやったら、揃うようになるだろう?と聞いてみると、細かいところまできちっと合うまで練習するというような答えが返って来ました。



とっても真剣に取り組んでいる姿勢が伝わってきます。
そのとき、ふと揃えるためには他のやり方(考え方)があるかもしれないと思い、こんなゲームをしてみました。



2人一組で向かい合います。
仮にAさん、Bさんと呼ぶことにします。

・Aさんは自分の動きたいように体を動かす
・Bさんは、Aさんの動きを(ほぼ同時に)そっくり真似する
・これを2〜3分続ける、ABの役割を交代してもう一度する
(Aさんはだんだんと複雑な動きを取り入れてみてください。)

・Aさんは(①と同様に)自分の動きたいように動く
・Bさんは、今度はAさんを見ながら、全然違う動きをしてよいし、Aさんと同じ動きに合わせてもいい、と思いながら動く
・2〜3分続けて、役割を交代してもう一度する






①と②では、どんな違いが起こるでしょうか?
見ていた僕と、ゲームを体験した生徒が思ったことは、

①は動きがぎこちなくなるのに対し、②はAさんもBさんも動きが自然になること。
②は2人の動きが違ったりするけれど、一体感がある。動きのテンポ感は自然と合っている。対話しているように見える。
②は、動きを真似しなくていいのだけど、相手の動きに自然に合わせたくなった。

といったものでした。もちろんゲームの結果、気づくことや感じることは人それぞれかと思います。

このゲームをしてから、もう一度、例のフレーズを演奏してもらうと、今度はぴったりと揃いました…!

なぜ、これだけで今まで揃えるのに苦労していた部分が揃ったのだろう…?


考えられるのは、
②は、お互いただ好き勝手に動いているわけではなく、相手を見ながらすることで、相手との関わりが生まれています。
相手の動き、自分の動き両方に気づいていられることができます。

②は、動きを選択する自由があります。そのことで、身体はより柔軟に動くことができると思います。

他にもあるかもしれませんが、このようなことが演奏にも関係してるのではないかと思います。



揃えることを頑張りすぎて、身体が緊張してうまくいかなかったり、そうすることで、揃ってはいるけど音が硬くなってしまう、身体が疲れる場合は、少し視点を変えてみるといいのかもしれないと思いました。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
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2014年5月10日土曜日

今、自分はなぜトロンボーンを手に持ったのか?

2014年5月2日〜5月6日、静岡の御殿場で開催されたbodychance の「アレクサンダーテクニークミニフェスティバル」(合宿)に参加していました。

この合宿中に探求していたことは、「今、自分はなぜトロンボーンを手に持ったのか」ということでした。


合宿に行ったら、レッスンで演奏を見てもらうだろう、空き時間には練習するだろう、と当然のようにトロンボーンを背負って御殿場までやってきました。


2日目の朝、周りから楽器の音が聞こえてきて、「ああ、僕も吹かなきゃ。レッスン受けるし音だしをしとかなきゃ。」といそいそとトロンボーンを組み立てて、吹いてみると、
気分も体も重くなって、思うように音が出なくなってしまいました。
なんだか今日は調子が悪いなあ。


その日、レッスンを受けましたが、それもいまひとつ目的がはっきりしないままになってしまいました。(受講されてた方、貴重な時間をごめんなさい!)



自分は、何しに合宿に来たんだろう。もやもやとした1日を過ごし、その夜バジルさんに相談。すると、

「今日、そのとき、本当に楽器を吹きたかったかどうかが関係してるかもね。」
と応えてくださいました。


このとき自分の中で、必死に抵抗するなにかを感じました。
「吹きたくないわけないじゃないか!僕のやりたいことは、演奏することなんだ!」と、まるで自分のやりたいことを決めつけてしまっているように。
それが本当にやりたいことなのか?と問われると、なぜかつい耳をふさいでしまいたくなるのです。





楽器を吹くことは、僕の日常の中ではいたって普通の行為で、いちいち「今、楽器吹きたいの?」なんて考えていないわけですが、バジルさんとの会話から、「吹かない」という選択肢を用意してないというか、許していない自分がいることに気づきました。



翌日、本当に楽器が吹きたくなる衝動がわいてくるか、待ってみました。
時間が経つにつれ、「今日まだ吹いてないけどいいの?」「ちょっとくらい吹くべきだぞ!」って思ったり、不安になったりしたけど、どんなにざわざわしても、「吹きたい」と思うまで待ってみて、結局その日は1度もトロンボーンに触れませんでした。



「吹かない」という選択をできたんです。
別にどうってことないことかもしれません。でも僕にとっては新鮮で、
これほど「吹くか、吹かないか」で葛藤し心がざわついたことに驚きました。



そのまた翌日、クラスを聴講していて、他の受講者さんのレッスンでアンブシュアについてのアイデアをもらい、ぜひ試してみたくなり、トロンボーンを取り出しました。



トロンボーンを持ったとたん、「これを意識しなきゃ、あれも気をつけなくちゃ、いい音で吹かなきゃ、〜〜〜!」と、ほんとにたくさんの考えが起こりました。
そこでトロンボーンを手に持ったまま、少し時間をとってみました。



ちょっと待って、僕は何がしたくてトロンボーンを取り出したんだろう?
「さっきのレッスンで興味をもったアンブシュアのアイデアを試してみたかったんだ!」


純粋な興味から行った実験。
こうするとこんな音がなるんだな。
このするとこんな風に音が外れるんだな。たった5分ほどの時間でしたが、学びや気づきが詰まっていました。
たった5分だけど、吹き終わるととても清々しい気分になりました。
やりたいと思ったことを、自分で邪魔せずにできたんだなあ。



もしかすると、本番以外で楽器を吹く時間は、全て「練習」で「うまくならなくちゃいけない時間」だと思っていたかもしれません。
ただ演奏したい。だれかと演奏を楽しみたい。うまくなりたい。実験してみたい。曲をさらいたい。
など、ほんとはそのときそのときで様々な目的がありますよね。
どんな興味や衝動で、楽器を手にしたのかを大切にしたいと思いました。



もうひとつ、おもしろいと感じたできごとは、合宿中トロンボーンにはそんなに触れなかったけど、ウクレレを弾いたり、バラフォンという民族楽器を初めて演奏したりしていました。
音楽をしたいという衝動は、頻繁に起こっていたのでした(^^)



トロンボーンになると、つい「練習しなきゃ。もっとうまくならなくちゃ。」と習慣的な考えに入って、興味や目的のないままに吹きはじめていたり、せっかく湧いて来た興味を粗末にしていたんだなあと気づきました。



長いトロンボーンとの付き合いの中で、忘れていたことを思い出させてくれた合宿でした(^^)
どうやって自分の望みとつながるか。
この週末も、海外教師のルシアウォーカーさんのクラスを受講するので、ゆっくりと探求していきたいと思います。


















2014年5月2日金曜日

パート練習は間違い探し??

先日行った、吹奏楽部員のための「パート練習の進め方」講座からのまとめ、その②


・パート練習=間違い探し??

吹奏楽部の日頃の練習といえば、合奏や個人練習に加えて、パート練習(同じ楽器の人同士で一緒に練習する)やセクション練習(同属の楽器同士や、同じフレーズを担当する楽器同士で練習する)といった練習が一般的かと思います。

もちろん、そのやり方や目的はバンドによって様々だと思います。

パート練習やセクション練習の特長といえば、生徒だけで練習を進めていくこと。先輩になって、パート練習をどうやって進めていけばよいか不安になることもあるかもしれません。


パート練習の主な目的の一つは、同じ楽器同士のアンサンブルの向上かと思います。ハーモニーや音程、フレーズの歌い方、テンポ、リズム、サウンド、タイミングなどなど、意見を交わしたり、一緒に演奏することを重ねることで精度が増し、だんだん合ってくると思います。


さて、そのアンサンブルを合わせていく作業をパート練習の中で行うとき、
はじめからずれているところ・できてないところばかりを探そうとしていないでしょうか?


僕自身の経験ですが、はじめて先輩になったころ、パート練習をどう進めていけばアンサンブルをまとめられるのかわからず、とにかくずれているところを探して指摘するような傾向がありました。
1度演奏してみて、なんてコメントしてよいかわからないときは、さらに必死にずれているところを探してたように思います。さらには、指摘したところがうまくいっても、すぐに「でもここがダメだ、ここが合ってない」と別のダメ出しが始まるなんてことも。

もちろん、これはいい演奏にしたいからやっていたことで、僕にとってはこのやり方が、「真剣で、けじめのついた、ちゃんとした」パート練習だと思っていたのです。


けれどそうしてダメ出しばかりしていると、ダメ出ししている側も・される側も、緊張してのびのびと演奏できなくなってしまいます。
ましてや、はじめからできてないところを探されていると思うと、萎縮してしまうし、気持ちよく演奏できません。


アレクサンダーテクニークの教師養成過程の、「ティーチングメソッド」のクラスでこんなことを教わりました。

「ただ興味をもって、相手の話を聞き、相手の動きを観察する。」

これは、僕が楽器のレッスンをしたり、合奏指導をする際にもとても役に立っています。


これからパートで奏でる演奏を、どんな音がするかな?どんな風に聞こえるかな?と、ただ興味をもって聴いてみます。
すると、ダメなところを探していたときよりも、演奏をより全体的に聴くことができます。



思わずかっこいいなあ!と思ったり、きれいなハーモニーだなあと感じたり、ここは音程がずれているよね、とか、ここが合うともっと素敵だな、などなど。様々な情報を受け取ることができます!いい面に気づくこともできれば、ずれている部分に気づくこともできます。
いい面もよくない面も全て含めた、今の自分たちの演奏が聞こえてきます。

そうすると、そこからどんな演奏にしていきたいかな?という視点で考えやすくなります(^-^)
また、音程やリズムといった部分のみにとらわれないで、音楽全体が聞こえてくるので、曲に対するイメージも膨らみやすくなるのでは!


この、「どんな演奏にしたいか」っていうイメージはアンサンブルをまとめていく上で大切なものだと思います。そのイメージが、方向性を示してくれるからです。


また、できてないところをお互いに教えあうことは必要だと思いますが、いいところ・できてるところもなかなか自分では自覚してないことが多いので、お互いに「ここがよかったと思うよ」と言いあえると、より自分の演奏を客観的に考えることができますね(^-^)

特に、一年生や楽器を始めたばかりの人は、演奏がよかったのかどうか自分で判断することは難しいので、よかったところや、上達しているところを伝えることは、先輩としてとても大切な役割だと思います。















2014年5月1日木曜日

失敗できる練習環境にしよう!

先日、母校の吹奏楽部を訪ねて、「パート練習と先輩・後輩の関係」について講座をさせていただきました。

僕自身が学生のころ、優秀な後輩だったわけでも、優秀な先輩やパートリーダーであったわけでもありませんが!
なぜこのテーマで講座をしたかというと、今年の母校の定期演奏会で指揮をさせて頂くことになり、合奏練習に参加したときのこと。
合奏が始まる直前まで、生徒たちの音だしや練習をする音が、とても活き活きとして、楽しげで、どんな合奏になるのか楽しみにしていたのですが、いざ合奏を始めてみると、それまでの活き活きとした音ではなくなってしまったのです。
なんだかそれまでよりも「縮こまった」印象を受け、違和感を感じました。この違和感はもしかすると、自分が学生のころから抱いているように思います。
もちろん合奏のほうが緊張することもあるだろうし、会ったばかりの指揮者ならなおさら。僕の指揮の力量にもよるだろうけど、僕が感じた違和感はそれだけではないように思えたのでした。
そこで、普段の練習環境について、生徒たちと考える時間を作ってみたかったのです。


・失敗できる環境=失敗そのものが学びになる練習にしよう!

合奏のときに感じた違和感の一つが「失敗、またはまだできていない=誰かに迷惑をかけてしまう、だから失敗しちゃいけない/したくない」という空気でした。(あくまで僕自身が個人的に感じたことですが。)

生徒たちに「失敗」についてどんな印象をもつか訪ねてみたところ、意外にもポジティブな意見が多く返ってきました。
「失敗は次につながる、活きる」
「失敗をしながら成長する」
といった意見です。

失敗には、成長に不可欠な情報がたくさん詰まっていると思うんです!

失敗は、「やろうとしていることと、実際に起こったことが違う」ことを教えてくれ、やろうとしていることを実現するやり方について、様々な情報を与えてくれています。

まだ出せない音域や、まだ吹けないフレーズにチャレンジするときにも同様のことが言えると思います。

たとえ意識していないとしても、私たちは失敗から受け取った情報をもとに、次に実行するプランを構築しています。

ですが、「失敗しちゃいけない」「迷惑をかけちゃいけない」という考えにとらわれてしまうと、もともとの目的を歪めてしまい、本来成長(目的)につながるはずの失敗が、活かせなくなってしまうことがあります。
つまり、「失敗しないように」や「迷惑をかけないように」演奏することは、もともと本来の目的ではないはずです!

失敗自体は自分のためにもバンドのためにも、いい働きをしてくれるものではないかと思います。
もちろん、誰だって失敗したいわけではありませんよね。悔しかったり恥ずかしかったりするのも自然だと思います。
けれど、演奏に関していえば、誰かの迷惑になるものではありません。
望んで起こすものではないけど、起きたら歓迎してみましょう!


自分に対しても、仲間や後輩に対しても、「失敗してもいい」と許しを出して、「こんな演奏がしたい」という目的を持ってチャレンジし続けられる練習にしていきたいですね!

この記事を書きながら、小学生のころ休み時間に校庭でサッカーをしていたときに、サッカーが大好きな友人が、シュートを外したり、相手にボールをとられてしまう僕に対して、いつもすかさず「ドンマイ!!」とフォローしてくれていたことを思い出しました笑

吹奏楽は演奏中は話せないし、部活だと合奏中に話しにくい雰囲気があったりして、ある意味孤独ですよね。だからこそ、自分に対して「失敗してもいいから、やってみよう」と励ましたり、パート練習の中で仲間をフォローしたりコミュニケーションをとることは大切なのかもしれません。


以前は、僕自身演奏するとき、失敗に対してとても神経質で、「失敗しちゃいけない」と考えていました。「失敗してもいい」と言われても、そんな甘くちゃ上手くなれないよ!って思っていました。けれど今の自分にとって「失敗してもいい」というのは、リスクを冒すことで、自分のやりたいことと向き合うことで、自分にとって本当に必要だった厳しさなんだと思います。






2014年4月22日火曜日

あがり症がだんだんよくなってきた②

先日のブログ(こちら)にも書きましたが、長年苦しみ続けた「あがり症」が、時間をかけてゆっくりとよくなっています。

「よくなった」というのは、あがらなくなる、緊張しなくなる、ということではありません。今でも本番ではとてもあがります。けれど、緊張しながら、自分の実力を発揮できたり・その場の演奏を楽しめるようになってきているのです。
アレクサンダーテクニークを学ぶ過程で、何があがり症の役に立っているのか、すこしずつ整理していこうと思います。


あがりがひどかったころ、こんなことに困っていました。

「本番になると、いつもと全然違う感覚になり、これで演奏できるのかと不安になって頭が真っ白になってしまう。」

いつもと同じ感覚・感じで演奏しようとしても、舞台に立つと、自分の身体の感覚・楽器を持つ手の感覚・マウスピースが唇に触れる感覚・聞こえ方などがガラリと変わって、音の出し方さえわからなくなってしまうことがありました。
このため、当時はいくら練習しても、本番では感覚が変わり頭が真っ白になって吹けなくなるんだ・・・という怖さをいつも感じていました。



さて、本番になると感覚が変わるのはなぜでしょうか?
これは、アドレナリンによる作用が関係しているそうです。
体内でアドレナリンが分泌されると、心拍数や血圧があがり、興奮状態・体が活性化した状態になります。この状態が、いわゆる緊張とよばれているものですね。
このアドレナリンは、感覚器官の感度をあげる作用もあるそうです。



つまり普段よりも敏感に、感覚から受け取る情報が増えるのですね。
なので本番になって、普段は気付かない、または気にしていないことにも、気づきやすくなっています。
アドレナリンは、これから行う演奏で、自分の能力を最大限発揮できるよう、体を活性化させる役割を果たしてくれています。なので本番前の緊張(どきどきやそわそわ)・いつもと違う感覚になることは自然なことですし、望ましいことでもあります。



以前の僕は、本番の時、
「いつもと感覚が違う」=「おかしい・調子が悪い・間違っている」と考えていました。

ですが、アドレナリンの作用で感覚器官の感度が高くなっているのであれば、
いつもと同じことをしていても、受け取る感覚は違ってきます。
つまり、「感覚」によって「正しい・いつもの調子」か「おかしい・調子が悪い」かを判断することは、あてにならないことがあるのです。


このことは、僕がこれまで本番で、練習のときと同じ感覚を再現しようとしていたことと、それが実際には役に立っていないことを教えてくれました。
そして、演奏しているときの「感覚」ではなく、演奏するために行っている「やり方」や、音を出すための「吹き方」に注目してみることにしました。


・自分は、自分の体をどんな風に使って演奏しているのだろう?


例「左手でトロンボーンを持ちあげて、マウスピースを口にくっつけて、口を閉じて、息を吐く。」


とてもシンプルで、当り前のことですが、こんな風に「楽器を吹く」という行為を、具体的な動作として考えてみることで、それまでの奏法に対する混乱した考えから解放されて、音を出すために必要なことを、改めて理解していくことができました。
逆にこのシンプルな動作を理解すると、実際には、身体が色々な複雑な動作をしているらしいことがわかるようになってきました。
考えはじめた頃は、練習でもまともに音がでなくなっていたので、「これだけで音がでるんだ・・・!」
とあっけにとられたことを覚えています。




・何をすれば出したい音・吹きたいフレーズが吹けるだろう?


上に書いた動作だけでは、ひとつの音を奏でることはできても、曲を演奏することはできません。
出したい音域によって、何をすればいいのか、音程を変えるために何をしているだろう、リズムを演奏するためにどこが動くだろうか?
こんな風に考えることは新鮮でした。考えなくてもこれまで演奏できていたし、あまりにも「当たり前」に感じることだったからです。それに、今まで「できない原因・うまくいってないところ」を探すのには慣れていましたが、「何をすれば」と考えることはあまりなかったように思います。


「(イメージしている)この音を出すために、マウスピースを口にくっつけて、スライドをここまで動かして、こう息を吐く。」など

こうして曲を演奏するための、その音ひとつひとつの出し方・基礎的な技術を確認し、繰り返し練習していくと、本番の緊張状態の中でも、音の出し方を理解しているので、感覚の違いに混乱することは減り、結果的に音楽に集中しやすくなりました。




森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

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2014年4月14日月曜日

あがり症がだんだんよくなってきた。

「あがり症がだんだんよくなってきた。」

大阪音楽大学トロンボーン専攻を卒業し、現在Bodychanceアレクサンダーテクニーク教師養成コースに在籍している森岡尚之です。
僕は、高校生の頃に初めて「あがり」を経験し、音大に入学してからの4年間、練習を重ねても本番では「あがって」しまい自分の実力を出し切れず悔しい思いや、みじめな思いをしてきました。
さらに、「あがって」いるときの自分のボロボロの演奏が、自分の実力だと思い込んでいました。
そのために、普段から自分の演奏に対して、かなり否定的になっていました。
自分を精神的にも、肉体的にも痛めつけるような練習を繰り返し、本番ではあがってしまい普段できていることの半分も出せない本番も多々・・・そんな悪循環は、「もう楽器をやめたい」と本気で考えるまで自分を追いつめていました。

 

ここまで悩んでいながら、他人に相談することはありませんでした・・・
「あがり症」に対してネガティブなイメージを持っていたので受け入れることができなかったのです。

・音大生なのに「あがり症」なんて・・・
・「あがり症」=本番で必ず失敗する=使えないヤツ

こんな考えが先行してしまい、先輩にも先生にも、同級生にも親にも相談できませんでした。
相談したら相談したで、「君には向いていないんだよ」と引導を渡されそうで怖かったのかもしれません。



しかし、大学四年間の集大成といえる卒業試験で、ちっとも納得のいく演奏ができなかった僕は自ら「音楽をやめよう」と思いました。
けれど、こんな状態だけれど、音楽が好きで、続けていきたいという気持ちは残っていました。
そんなとき、ある怖い疑念が浮かびました。
「たとえプロを目指すことをやめて、趣味で音楽を続けていきたくても、あがり症である限り、音楽を楽しむことはもうできないかもしれない・・・」



なんとか音楽を続けていける道をさがしてみよう!「やめる」代わりに、少し休もう。
休みながらでいいから、楽器と、自分と向き合おう。
その年に、出会ったのが「アレクサンダーテクニーク」。
ホルン奏者で、アレクサンダーテクニーク教師の資格を持つバジルクリッツァーさんのブログを読んだのがきっかけでした。
自分が探していた「あがり症を克服する方法」が見つかるかもしれない、わずかですが可能性が見えてきた感じがしました。



アレクサンダーテクニークを学びはじめ、その中で大きな発見がありました。

これまで僕は、人からどう評価されるかが、怖くて怖くてたまりませんでした。
・もし、本番で失敗してしまったら、周りからの信用を失って、もう出演の誘いは来なくなる。
・せっかく聴きにきてくれた友人はがっかりしてしまう。
・「あがり症」だと思われたら、音楽家として終わりだ(?)


しかし、実際には、
・本番で失敗してしまったとしても、同じ演奏会の出演の誘いは頂いたことがある。確かに誘いが来なくなる可能性はあるかもしれないけど、全てがそうではなかった。
また、他の人も同様に、失敗をしても再びチャンスをつかんでいる。
・聴きに来てくれた友人は、自分が気にしていた失敗よりも、ほかの部分を評価してくれていたことがある。
・自分の身近な魅力的な演奏家で「あがる」人は多い。有名な奏者でも「あがる」人はいるという話を聞いた。


つまりこれは、自分が本番前にそう思いこんでいることが、100%本当ではないということ。
ではなぜ、これらのことを、絶対だと信じ込んでいたのだろう。
その裏に根ざしていたものは、
・もし、本番で失敗してしまったら、「僕は」自分を信用しない。「自分は本番で失敗するから、依頼を引き受けるべきじゃない」と自分に囁くだろう。
・失敗したら、「僕は」自分にがっかりする。
・僕が「あがり症」だと認めてしまったら、もう終わりだ
という「自分の自分に対する評価」が原因だったのです。


この事実を知ったとき、大変ショックを受けました。
ショックでなのか、気づくことができてなのかわかりませんが、泣きました。
自分にこんな評価を下していたことも、それを他人のせいにしていたことも辛くなりました。
実際にあがりがひどかったころ、人間関係にも支障をきたしていたのです。


ですが、ひとつだけはっきりとした「希望」を見つけました。それは、
他人からの評価なら、変えることはできないけれど、自分が自分にしている評価なら変えることはできるのではないか!と思ったのです。


そうはいっても、現時点で自分に信用がなく、自分の演奏も大嫌いだったので、変わるには少し時間がかかりました。
本番であがる大きな原因としてあげられるのは、自分の実力を過小評価したり、実力以上のことをやろうとしていたことでした。


そこで最初にしたことは、「今の自分にできることとできないことを知る」ということ。
ただできるという事実とできないという事実を知るだけ。
できているという事実を否定しなくてもいいし、できないことを非難しなくたっていい。
これは、練習の効率を上げるのにも役立っています。
これをすることで、自分の今の技量に信頼を持て、その信頼は直接本番に繋がるようになりました。


僕の場合、「他人からの評価」ではなく、「自分からの評価」が演奏する自分に大きなストレスと、緊張を引き起こしているのだと知ったおかげで、自分自身が自分のやりたいことに協力的になれるように考えたいと思えるようになりました。
「あがり」とは、これからも長く付き合っていくだろうし、緊張しないことはないと思うけど、自分に協力的でいることで、緊張しながらでも、本番で自分の力を出せるようになってきました。

「健やかにトロンボーンを吹く」という目標を掲げて、約一年。
ほんと、健やかになってきています♪






森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年3月30日日曜日

背中を「まっすぐ」にしなくてもいい

3月、海外から日本へトミートンプソンという素敵なアレクサンダーテクニークの先生がいらっしゃいました。
レッスンで、トロンボーンを演奏しました。
すると、トミーから一言。
「君はまるで演奏する前から、今日の演奏がどんなものになるか知っているように見えたよ。」

たしかに、レッスンでは、みんなが見てる前で、一人演奏するから緊張していました。
緊張すると、いつもこんな演奏になるんだよなー。と吹く前から考えていました。

「楽器を構えるときにね、演奏がこうなるに違いないという感覚を持たないでほしいんだ。あたかも初めてその楽器を手にしたときのように。これからどんな音が聞こえるのか、決めつけないで演奏してみて。」

とても吹きやすくなりました。体が楽で、息が吐きやすくて、音程がクリアに、そして響きも増えました。
たったこれだけのことで、どうしてこんなに変わるの!?
トミーとのレッスンで何が起こったのか・・・わかったような、わからないような・・・

トミーは、演奏に対する「思い込み・先入観・習慣」を持たないでいることを
「定義を保留する」と言っていました。


レッスンを受けてから、数日間、一人で練習するときにもトミーから教わったことを考えながら、練習しました。
が!レッスンのようにうまくいかず、ちょっと吹くと背中が痛くなってくるのです。
どうしてだろう?


無意識のうちに、定義を保留することができれば、体は楽になり音もよくなるはずだ!という新しい定義をつくっていたのです笑
そこで、改めて、「こうなるに違いないという感覚を持たずに、これからこの楽器からどんな音が聞こえてくるだろう。良いとも悪いとも限らない。」と思うと、
トミーとのレッスンのときには、気付かなかったことが起こりました。

背中のつっぱりがふっと緩んで、胴体がとても楽になったのです。
そのまま演奏してみると、さっきまでの不調がうそのように、気持のいい響きが聞こえました。


そうか。自分の持っている定義(習慣的な考えや先入観)が、自分の体の使い方に影響を与えているのかも!


それから、気持よく吹けたり、背中が痛くなったりを一週間ほど繰り返していました。
演奏するとき、無意識のうちに背中を突っ張らせて、それが背中痛を引き起こしたり、演奏の邪魔になっていることはわかったのですが、その背中を突っ張るという動き自体、いつからやっているんだろう??観察してみます。

楽器を演奏しはじめたとき?
楽器を構えるとき?
楽器を手に持ったとき?

にはすでにやっているな~・・・

じゃあ、楽譜を用意しているとき?
譜面台を組み立てている時?
楽器をケースから出している時?

このあたりから、すでに姿勢を意識して背中をまっすぐにしようとしてるかも・・・
でも一番最初に変化が起こるのは・・・

部屋に入って、「さーこれから吹くぞ」と思ったときでした・・・!たしかに背中が少し動いて、いわゆる「気をつけ!」の姿勢をやろうとしていたのです。


いい演奏をする→背中はまっすぐ、正しい姿勢で!という、自分の定義が見つかりました!そして
その「演奏モード」は、実際に楽器を演奏している時よりもっと前の、部屋に入るときや、「演奏」のことを考えたときにすでに始まっていることがわかりました!

じゃぁ、これからは、その定義を保留して、「別に背中をまっすぐにしなくても演奏できるんだぞ~。背骨はもともとカーブしてるんだぞ~」と改めて自分に教えながら演奏すればいい。

そうすることで、音は以前より豊かになったし、背中の痛みもほとんどなくなりました。

ひきつづき観察していくと、「演奏モード」(気をつけの姿勢)の度合や始まるタイミングは、僕の場合シチュエーションによって違うことがわかってきました。

たとえば本番の日は、朝起きて朝食を食べているときから、「演奏モード」になっていたり。
人前で演奏するときは、「演奏モード」の度合を強くしようとしてたり。
フォルテや、ハイトーン、テンポの速い難しい曲のときにも「演奏モード」が強くなったり。

この、自分の習慣的な動きが、いつのタイミングで始まるのか、気づくと新しいプランが使いやすくなります。


僕にとっては、以前採用していた演奏モード=気をつけの姿勢は、背中痛を引き起こし、体を固めて逆に演奏しづらくなるように作用していました。
トミーの「定義を保留する」という考えは、とても役に立っています。






森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年3月13日木曜日

ピッチを含む、『音』全体でチューニング!



先日、母校の吹奏楽部へお邪魔し、合奏で指揮をさせてもらいました。
時間よりも早く着いたので、合奏前のチューニングから参加することに。

せっかく演奏会で指揮をさせてもらうのだから、一人一人の音を聞いてみたいし、なにか一言二言話してみたかったので、各楽器ごとにB♭の音を吹いてもらいました。

サックスパートにB♭の音を吹いてもらっている時に、なんだかあとちょっとで合いそうなのになかなか音が合わないんです。
どうしたらいいかなあ…と思い、生徒に、

『チューニングって何をすることかなあ?』と聞いたら、

「音程(ピッチ)を合わせることです」

うん、違いない!と思います。
でも聞こえているのは、ピッチだけ??

音程は、その音を構成する一つの要素にすぎないのでは?
つまり、聞こえているのはピッチだけではなく、音色や響きや音量などを全て含んだ『音』なんです。

なのにチューニングになると、『音程』という1要素を強烈に意識するからか、音色や大きさ、響きなどの他の要素を一切シャットダウンし、音程のみにフォーカスしようとしてしまうのかもしれません。
もちろん私達はふだん『音』全体を聞いているのだし、『音程』だけを聞くのは現実的に無理なのではと思います。


そこで、
『隣から聞こえる音は、どんな音程・音色・響き・大きさだろう??音程を含めた音全体を聞きながら吹いてみよう。』

と提案してみると、すぐに変化が出ました!
音程は合ったし、一人一人の音の方向性がはっきりとして、サックスパートのサウンドの存在感がぐんと増えました!

さらに、全体を見ていくと、
隣から聞こえてくるその音を、奏でているのは誰?
今日はどんな髪型をしてる?
どんな服装だろう?
今日はどんな部屋で吹いているんだろう?

なぜここまで含めるのかというと、合わせようとしている『音』は目に見えないからです!
目の仕事は『音』を見ることではなく、楽譜や指揮や客席、目の前の景色、一緒に演奏する共演者達を見ることだと思うんです(^^)


その場の思いつきのアイデアでしたが、おもしろい体験になりました。
僕自身も、学生のころ、今思えば『音程』だけにフォーカスしていたと思います。
それにしても、学生時代、チューニングのピリピリと張り詰めた時間がなんとも苦手だったなあと、しみじみ思いました笑



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年2月18日火曜日

先生のやりたい音楽と生徒のやりたい音楽

先日のBODYCHANCEプロコースのクラスの中で、「教える」って具体的にどんな行為をすることか?という話がありました。
例えば、僕だったら、相手のお話を聞いて、演奏を見て聞いて、考えて、会話して、また演奏を見て聞いて、会話をして、会話の中には質問や提案、フィードバックなど含まれてて。だいたいそんな流れの作業をしているように思います。


じゃあ、それらの行為の中で、自分が伝えたいメッセージはなんだろう?何を教えられるんだろう。
中学校や高校の吹奏楽部へレッスンに行く度に、トロンボーン講師として呼ばれた僕に何ができるだろう、とぼんやり考えていました。

トロンボーン講師として呼んで頂いた時、先生や生徒から頂くリクエストは、「ちゃんと吹けるように。音程を合わせて。高い音を出せるように。音が汚いからキレイな音が出せるように。」などなど。
トロンボーンの専門家としてレッスンに行くのだから、これらの悩みについて考え、アイデアを提案するのが僕の役割の一つだと思います。
でもレッスンをしていると、なんだか自分がモヤモヤしたり消化不良になることがある。…




この頃、学校の吹奏楽部へレッスンに行くとき、どこへ行ってもある共通の興味を抱くようになりました。


指揮をされている顧問の先生が、どんな音楽をしたいのか?生徒たちはそれぞれどんな演奏をしたいのか?
その音楽を、どんなふうに受けとって感じているのか。ということが知りたいのです。
これは、レッスンを行うためでもあり、僕個人の勝手な興味でもあります。

技術の習得や、向上はどんな演奏がしたいか・どんな音楽をしたいかということと切っても切れない関係にあるんじゃないかと思うんです。



どんな演奏がしたいか、というのは、こうすべきとか、こうでなくちゃいけない、とは違って。
こんな風に演奏してみたいとか、この曲はこんな感じとか、その人の言葉ならどんな言葉でもよくて、言葉じゃなくて歌かもしれないし、その人にしかわからないイメージかもしれないし、たぶん言葉だけでは表現できないもので。探すよりは、ふっと湧いてくるようなものだったり。

もし、練習中や演奏中に「ピッチを合わせて」「タテを揃えて」「キレイな音で」「テンポ合わせて」「もっと大きく、もっと小さく!」という声ばかりが聞こえてくるなら、「こんなふうに演奏したい」と言ってる声に耳を傾けてみてほしいんです。



僕がレッスンでお手伝いできることは、
「先生と生徒のやりたい音楽を実現するためにはどうすればいいか、一緒に考えて、アイデアを提案すること」
 

僕がレッスンでできることは、
「僕自身が、生徒の前で僕のやりたい音楽を演奏したり話したりすること」


僕がレッスンで教えることができるのは、
「生徒たちも、自分のやりたい音楽について考えるのは自由で、それを表現すること・表現しようとして失敗することは許されているということ」


今はそう考えています。


自分のやりたい音楽に気づいて、その音楽を演奏しようとするとき、これまで身につけた技術は能動的に働くし、これから身につけたい技術もはっきりするのだと思います。



まだまだ未熟ですが、今考えていることを、整理したくて書いてみました。

 


森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年1月26日日曜日

見通しをたてる

昨日はソロの発表会で演奏でした。

僕の出番は17時10分ごろなので、それまではアレクサンダーテクニーク教師養成の授業に出ることに。
いつもなら授業の中でレッスンを受けますが、本番当日ということもあり、僕自身が考えてきたプランもあるので、今日はレッスン受けなくていいやと決めていました。

お昼すぎから、急にソワソワし始めて、「ああ、緊張してきたなあ。」と思いながら午後の授業が始まりまして・・・
講師のユズル先生から、「今どんな感じですか?」と聞かれ、

『ソワソワしています。』と答えると、

「どこがソワソワしてますか?いつまでソワソワしているの?」とユズル先生。

どこがソワソワ?ソワソワをいつやめるかって?そんなこと考えたことありません。
それにソワソワをコントロールすることなんてできないじゃないか、と思いました。


僕は、『今はこのソワソワのまま、いたいです』と答えると、


「今、ソワソワでいたいんだね、そのあとは何をするの?」

『・・・・・・?』


・・・「見通しは立てた方がいいと思うんだ。」ユズルさんの質問は続きます。


「何時に、ここを出て会場に向かうの?」

『3時です。』

「ここから会場へどうやって向かう?」

『歩いていきます。』

「この建物からどうやって出る?」

『スタジオを出て、エレベーターでおりて・・・玄関から』

「会場までの道順は?」

『玄関を出て、右に曲がって・・・御堂筋沿いにしばらく歩いて、信号を渡って・・・・建物に入ったらエレベーターで・・・』
このとき僕はこの質問意図が全くわかりませんでした。わけもわからず質問に答えていきます。

「着いたら何をする?」

『まず客席に行って、ほかの人の演奏を聴きながら、どんな空間かよく見ておきたい。出番の1時間前になったら、下の階の控室で、音出しとリハーサルをして、出番の10分前にはエレベーターで会場に戻り、前の人の演奏が終わり拍手が聞こえて舞台から降りて来られたら、僕は舞台の上に行き、譜面を置いて、おじぎをして、お客さんの顔を見て、それから伴奏者にアイコンタクトを送り、演奏を始めます。』

「それで、演奏がはじまったら?どんな音楽なの?」

『えっと・・・2小節の前奏を聴いてから演奏を始めます。最初は憂鬱な響きのするバラードで、・・・かっこいいカデンツァがあって、テンポが速くなる部分はピアノもトロンボーンも軽やかで楽しくて・・・最後はたたみかけるように終わりたい・・・』
うまく言葉にできないながらなんとか話し終えました。

そこでユズルさん、「今、どんな感じがする?」と初めの質問に。


・・・漠然としたソワソワや不安がすっかり吹き飛んでいました。
これから、演奏までの見通しを詳しく言葉にすることによって、安心できました。


最後にユズルさんから、こんな質問。《見通し》の続き。
「演奏を終えた後、どんな気分になりたい?」

『・・・わかりません』と答える。

「いい気分になりたくない?」

 
『いやな気分になるかもしれない』

「今質問しているのは、どうなるかの予想ではなくて、どうなりたいか。それは自分で決めていいんだよ。」

なぜだか、考えたこともなかったというか、いつも根っこには悪いイメージがこびりついていたんだと思います。「演奏が失敗して、落ち込んでいる自分、気分も最悪」なイメージや予想ばかりしてしまうのです。

それを話すと、
ユズルさんは、「それも、習慣なんだ」とニコッとしながら言ってくださいました。


達成感、やりきったぞという気分になりたいと、ふと思いました。


最後にどんな気分になりたいか?
実際にはどんな気分になっているかわかりません。
けれど僕ははじめから「気分が落ち込む」イメージを持っていたために、知らず知らずのうちにそういう結果に自ら向かっていたのかもしれません。
「どうなりたいか」を考えることにより、積極的に「演奏」に臨むことができました。






本番まで、この『見通しをたてる』を何度か繰り返しました。
もちろん現実は見通し通りに進むわけではありませんが、あらかじめ考えて置くことでいくつも役に立つことがありました。

演奏前、ほかの人の演奏を聴く、と決めたこと
ぼくはどちらかというと本番前、人の演奏を聴きたくありません。でもほぼ絶対に聞こえてきます。
控室から漏れる演奏、会場から・モニターから聞こえる演奏、ステージ袖で聞こえる演奏。
聞かないでいる方が難しいと思います。
普段なら、「聞きたくないけど、聞こえちゃう!みんなうまいなあ!どうしよう!!」とかってなるんですが、あらかじめ聞くと決めておくことで、以外にも人の演奏を楽しんで聞くことができました。


ステージに出たら、おじぎして拍手を頂く、それからお客さんの顔を見る、と決めたこと
拍手を聞くと、どう反応してよいかわからなくなったり、拍手が止んで演奏が始まるまでの時間も、いつも僕はふわふわして居心地の悪い時間を過ごしていました。
ステージにでてから、演奏が始まるまでの見通しをたてておくことで、気持は演奏に向かい続けることができました。


これから演奏する音楽の見通しを、考えて言葉にしたこと。』
自分が一番好きなフレーズや一番の聞かせどころ、各部分のキャラクター、ストーリー。たぶん言葉では表現しつくせないけれど、言葉にしてみる。
正しさも、センスの良さも必要なく、自分の持っているイメージを、自分の持っている言葉の中から選んで表現する。僕の想像では、これは「その時、自分にできることを選択する」力になると思う。
本番中も、どう演奏したいか、より鮮明に思うことができました。



当初は、レッスン受けないぞと思っていましたが、結果的にユズルさんのレッスンで多くのことを学ぶことができました。
本番も、何度か手や口が震え、「あがり」に呑まれそうになりましたが、最後まで自分の音楽と向き合い演奏し続けることができました。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年1月23日木曜日

『今ここ』は安全。

今読んでいるThe Artist'wayという本の中に、
「私が今いるこの瞬間は、つねに、私にとって唯一、安全な場所だった。その瞬間瞬間は必ず耐えられた。」という文章があって、それがなんだかとても印象的でした。


アレクサンダーテクニークを学ぶ中でも『今ここにいる』という言葉をよく聞きます。
けれど僕はその意味がいまいちよくわからないでいます。
『今ここにいる』ってなんて当たり前なことを言うんだろう。それとも極めた者がやっと辿り着ける悟りの境地なのか・・・いつもあれこれ考えては、よくわからないままなんです。


でも、最近自分が、ほとんどの時間『今ここにいないこと』に気がついたんです。
特に演奏中の自分は、『今ここにいない』ことが多い。
「心ここにあらず」といった感じですね。
では、いつどこにいるのかというと、たぶん未来と過去をいったりきたりしているんだと思います。
どういうことかというと、先に待ちかまえていることや、済んだことにばかり気をとられているんです。


未来と過去のことを考えるのは、危険というか、不安で怖いことが多いです。
例えば、
・次のハイトーンはずれたらどうしよう?
・息がもつかどうか
・スタミナ最後まで持つかなあ
・失敗したり、演奏が止まってしまったらどうしよう
・信頼を失ってしまわないだろうか
・仕事がこなくなったらどうしよう
(これらは未来のこと。不安で仕方ありません・・・!)

・ウォームアップが不十分だったかもしれない
・十分なブレスがとれたかどうか
・リハーサルで吹きすぎたかも・・・
・音を外してしまった
・アンサンブルが乱れてしまった
・さっきの失敗は、どう思われているだろう
(過去のことは未来の不安につながっていくように思います)


これらのことに気をとられていると、居心地が悪く不快で、自分の実力を発揮できません。
未来の不安や、過去の失敗に目を向けていると、演奏している時間がとても怖くなって体が固まってしまいます。
あがり症になったころから、このような体験を何度も繰り返してきました。



『今、この瞬間に注意を向ける』
それは今この瞬間に見えるもの、聞こえる音、自分自身に気づくことなのかなあ、と思います。
確かにそこには、今一番必要で、確かな情報がある。
演奏前にハプニングが起こったとしても、どこかで失敗するかもしれなくても、その瞬間瞬間を演奏することはできる。だから『今ここ』は一番安全。

まだまだ考えはまとまらないけど、そんな風に考えながら、今度の本番に臨んでみたいと思います。


森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年1月10日金曜日

演奏中の脚を動けるように。



今日は2014年一発目のボディシンキングのクラスでした。
今日のテーマは股関節。

ボディシンキングのクラスは一年かけて頭と軸(脊椎)から始まり、発声と呼吸、腕・手、脚・足について学びます。
ちょうど今は脚について学んでいるところ。

というわけで、今日のクラスでは、トロンボーンを演奏する時の脚の動きをみてもらいました。

前々から、演奏中ひざがつっぱって脚全体を不要に固めている自覚はあったのですが、どうすれば余分な力をゆるめることができるのかわからないでいました。


演奏しているところを見てもらうと、『体重を脚の内側同士で支えているのではないか』というフィードバックを頂きました。

体重は脊椎の前側である脊柱を伝わり、骨盤から両脚の骨に伝わっているのですが、脚の内側で支えようとしていたことで重さが効率良く伝わらず、結果的に関節を固めることで頑張って支えていたのかもしれません。

ひざがつっぱったり、股関節・脚全体を固めていたのには、そうせざるを得ない理由があったんですね。『固まっている』という《症状》自体をどうにかしようとしていたけれど、それを引き起こす《原因》にカギがあるようです。

そこで『体重は脊柱を伝わり、骨盤から両脚の骨に分かれて、脚の外側を伝わっていく』と想像してみると、固めていた股関節もひざも緩んで自由になりました。


今までは、自分の身体を支えるために関節を固めて、筋肉が頑張っている感覚でしたが、骨格が身体を支えてくれているという、安心感が得られました。


今回レッスンで脚についてみてもらったのは、演奏と脚の動きがどう関わっているのかという単なる好奇心からだったのですが、股関節とひざが緩むと、呼吸がとてもラクに、しやすくなりました。


さらに詳しく探求していきたいテーマです。
ひとまず今日は、脚を動けるようにするプランが見つかり、よかったです(^^)


森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
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2014年1月5日日曜日

クレッシェンドのテクニック

私たちは音楽を演奏するために様々なテクニックを、演奏体験や練習を繰り返して身につけています。例えば演奏中にクレッシェンドしたいと思えば、ほとんどの人が難なくできると思います。

頭の中で鳴っている音に従っているだけで、もしくはクレッシェンドしよう、音楽を盛り上げよう、音を大きくしよう、そう思うだけでクレシェンドという表現をごく自然に行えているのです。
クレッシェンド=だんだん強く、大きく・・・つまり音を大きくするためにはああして、こうして・・・なんて演奏中考えていませんよね。考える暇もありません。

音をだんだん強く/大きくしていく方法をすでに身につけていて、演奏中に瞬時にその方法を選択し、実行しているのだと思います。


しかし、必ずしも「やりたいと思っている表現」と「実際の演奏」が一致することばかりではありません。


そこで、
・理想のクレッシェンドを表現するために、
・クレッシェンドを効率よく行うために、
・よりラクに行うために、
音を大きくしていくための方法を知っておくことは、とっても役に立ちます。

私たちが普段意識しなくともできているクレッシェンド、実際にはどんなことをしているのでしょう?

◆息と口の連携プレイ!

チューニングB♭でもFでもなんの音でも構いませんので、ある音をロングトーンします。
口・唇はいっさい変えずに、息の量をだんだん増やしてください。

どんなことが起こりますか?
口・唇をいっさい変えずに、息だけ増やしていけば、音程がだんだん高くなり、やがて上の音にひっくりかえります。


次は、先ほどと同じ音で、ロングトーンします。
今度は、息の量はいっさい変えず同じ量で、口・唇をだんだん緩めてください。

今度はだんだん音程が下がって、さらに続けると下の音に変わります。


では、この二つを組み合わせます。
ある音をロングトーンします。
息を増やしながら、口をだんだんゆるめてみてください。
うまく連携できるとクレッシェンドになると思います。


ただ息を増やしていくだけでは、音程が高くなっていきます。
同じ音程を維持し、音を大きくしていくために、息の量を増やしていきつつ、それに連携して口・唇は緩んでいきます。
特に口を緩めているというのは、普段意識しないことかもしれませんね。
クレッシェンドするときに、音が思うように大きくならなかったり、力んだ音や響きが損なわれてしまう場合は、「口を緩める」ことを意識すると、きれいにクレッシェンドできます。


こうした仕組みや、やり方を理解していることで、
・より効率的になる
・表現の幅や種類を広げることができる
・よりラクになる
・生徒や後輩の指導で役に立つ
などメリットがあります。
試してみてください♪



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
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