2014年9月25日木曜日

本番当日のウォームアップ

先日は、兵庫県三田市にてホルン、トロンボーン、ピアノによるアンサンブルコンサートに出演させて頂きました。
一時間半の演奏時間を頂き、当日のリハーサルも時間をかけて行える本番は久しぶりでした!


会場に着いて、楽器を取り出し、ウォームアップをしているときにあれっ?と思ったこと。


「ウォームアップって何すればいいの?」
「ウォームアップってどれくらい時間をかけたら適切なんだ?」

ふと、そんなことを思いました。
普段の練習のときには、そんなこと全然気にしたことがなかったのですが本番当日になって、急に不安になってきたのです。

そこで、改めてウォームアップの目的と、どういう意図をもってするか、決めることにしました!


まずこの時点で、身体が緊張していつものように吹けないなあと感じていました。
自分のウォームアップの取り組み方が、「前の感覚を取り戻すこと、いい感じに吹けているときの感覚を再現すること」になっていたことに気がつきました。



前にいい感じで吹けていたときと、そのときの感覚を感じようとしているときとでは、目的もやり方も全く違うものになってしまいます。
そもそも全く同じ結果を再現することはできませんし、いい感じに吹けていた時のように吹くには、そのときにどんな意図でどんなやり方で演奏していたか考える必要があります。

そのときの感覚を、直接感じよう・再現しようとしていたからうまくいかなかったのですね。


そこで、ウォームアップをする際に、こんなプランを意識してみました。


今の自分の状況(久しぶりの本番を目前に昂ぶっている)をそのまま受け入れて、
これから生み出す音のことを明確に考えて、
頭が動けて身体全部がついてきて、
音を奏でる。





そうすると、普段より昂ぶってドキドキしたりソワソワしたり(いわゆる緊張)しながら、さっきよりも身体は自由に動けるようになり、音の鳴りもよくなってきました。


それでも、普段よりも緊張で興奮しているので、音がひっくり返ったりします。

なので、上のプランを何度か繰り返し、出したい音を出すために、今日の自分の身体はどんなふうに反応するかなあ?と観察しながら問いかけるようにしていきました。
そしてうまく反応しなくても、出したい音のイメージを持ち続けながら上のプランを繰り返してみました。

それを色んな音やスケール、アルペジオでやっていくと、だんだん反応がよくなって、コンディションが整ってきました。
「ああ、ウォームアップってこれでいいんだな。」と思いました。



やがて、コンディションも整い、自分自身を信頼できるようになって、自然と演奏曲のリハーサルへと移ることができました。


そういえば、以前の、「吹けてる時の感覚を再現しようとしていた」ころは、この自分への信頼がなかなか得られませんでした。


今回、本番当日にウォームアップについて考えることができたのはいい経験でした!
僕は人前で演奏するという経験自体、まだ浅いので、これから探求していけるポイントの一つかなと思いました。

今回のアイデアは次回も試してみたいと思います。




森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い










2014年9月5日金曜日

僕はマウスピースが唇の左側にあたる。

「どうやったら左右対称になるか。ではなく、どんな変化を望んでいるのか。」
昨日のボディチャンスプロコースでの、きみこ先生の言葉。


左右の脚で柔軟性が違うのはなぜか?というテーマのレッスンの中で出てきたものです。
そもそも人の動きは、左右非対称であることが多いようです。


金管楽器の演奏技術の習得についても同じことが言えるのではないかな?と思いました。

「マウスピースが中心からずれている➡︎中心にくるようにしなければ」
「姿勢が悪い、ベルが下がっている➡︎正しいフォーム・角度にしなければ」
さらには、「それができないと、上手くはなれない」
という考え方。これって少なくないと思うのです。

僕自身、そのような考え方をもとに練習に取り組んだ経験があります。

人から、そういうことを言われたこともありますし、自分の演奏を鏡などで見たときに「マウスピースがかなり左に寄ってる…これって良くないんじゃないか?」と思ったり。

それからマウスピースが真ん中にくるように意識するようになりましたが…吹きにくい…。

というかほとんど音が鳴らない。


また、姿勢が悪いからと、背筋を伸ばして練習していると…背中や腰が痛い。

でもそうしないと上手くなれない、音が鳴らなくても背中が痛くても耐えて練習して、マウスピースが真ん中にくるようになり、姿勢がよくなれば上手くなれるんだ!
と信じて取り組み続けましたが、一向に良くなる兆しもなく根をあげてしまいました。


これは僕の個人的な経験ではありますが、マウスピースが中心でないと上手くなれない。この姿勢、この角度でなければいけない。というのは、万人に対して言えることではないんじゃないかと思うんです。


そこで、思い出したいのは、何のためにそれに取り組んでいたのかということ。
音が鳴らなくなったり、身体が痛くなってまで正しい(と言われた)位置・姿勢・角度に執着するのは、目的からずれているように思えます。

そもそもは、より上手くなるため、演奏しやすくなるため、にレッスンを受けたり、情報収集したり、自分で考えたりしますよね。

だから「どうやったら左右対称になるか。ではなく、どんな変化を望んでいるか。」なんだと思います。


「うまくなるために、マウスピースは真ん中のほうがいいかもしれない」というアイデアがあるのなら、「うまくなるために、マウスピースの位置は左右対称でなくていい。吹きやすいところにあててやればいい。」というアイデアもアリだと思います。





箸でものをつかむことが利き手の方がやりやすいように、マウスピースの位置もどちらかにずれている方が、その人にとって吹きやすいということは、考えられます。

去年の夏、バジルクリッツァーさんのレッスンを受けたときもマウスピースの位置がずれていることに関してたくさんヒントを頂きました。
その時の記事は下記リンクからご覧になれます。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い