2014年1月23日木曜日

『今ここ』は安全。

今読んでいるThe Artist'wayという本の中に、
「私が今いるこの瞬間は、つねに、私にとって唯一、安全な場所だった。その瞬間瞬間は必ず耐えられた。」という文章があって、それがなんだかとても印象的でした。


アレクサンダーテクニークを学ぶ中でも『今ここにいる』という言葉をよく聞きます。
けれど僕はその意味がいまいちよくわからないでいます。
『今ここにいる』ってなんて当たり前なことを言うんだろう。それとも極めた者がやっと辿り着ける悟りの境地なのか・・・いつもあれこれ考えては、よくわからないままなんです。


でも、最近自分が、ほとんどの時間『今ここにいないこと』に気がついたんです。
特に演奏中の自分は、『今ここにいない』ことが多い。
「心ここにあらず」といった感じですね。
では、いつどこにいるのかというと、たぶん未来と過去をいったりきたりしているんだと思います。
どういうことかというと、先に待ちかまえていることや、済んだことにばかり気をとられているんです。


未来と過去のことを考えるのは、危険というか、不安で怖いことが多いです。
例えば、
・次のハイトーンはずれたらどうしよう?
・息がもつかどうか
・スタミナ最後まで持つかなあ
・失敗したり、演奏が止まってしまったらどうしよう
・信頼を失ってしまわないだろうか
・仕事がこなくなったらどうしよう
(これらは未来のこと。不安で仕方ありません・・・!)

・ウォームアップが不十分だったかもしれない
・十分なブレスがとれたかどうか
・リハーサルで吹きすぎたかも・・・
・音を外してしまった
・アンサンブルが乱れてしまった
・さっきの失敗は、どう思われているだろう
(過去のことは未来の不安につながっていくように思います)


これらのことに気をとられていると、居心地が悪く不快で、自分の実力を発揮できません。
未来の不安や、過去の失敗に目を向けていると、演奏している時間がとても怖くなって体が固まってしまいます。
あがり症になったころから、このような体験を何度も繰り返してきました。



『今、この瞬間に注意を向ける』
それは今この瞬間に見えるもの、聞こえる音、自分自身に気づくことなのかなあ、と思います。
確かにそこには、今一番必要で、確かな情報がある。
演奏前にハプニングが起こったとしても、どこかで失敗するかもしれなくても、その瞬間瞬間を演奏することはできる。だから『今ここ』は一番安全。

まだまだ考えはまとまらないけど、そんな風に考えながら、今度の本番に臨んでみたいと思います。


森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

レッスンのご依頼について