2015年10月14日水曜日

身体はひとつ!部分は、「演奏」の動きパターンに含まれる

アレクサンダーテクニークでは、頭の動き、頭と脊椎の関係性が身体全体の動きに大きく影響するという視点からレッスンを行うのが特徴です。


トロンボーンの練習をしていて身体のことを意識すると言えば、唇や顎、舌、呼吸、腹筋、腕・手・背中(姿勢)など、実際に楽器を操作したり演奏に直接関わるような部分を意識することが多いと思います。トロンボーン以外なら指や脚など他にもたくさんあると思います。


これらの身体の部分やそこで行っている動きについて、演奏を良くするための可能性や演奏を損ねる要因を感じたり、やりづらさや力み・痛みなどを感じて興味を持ったとき、その部分以外で起こっていることも見過ごせません。


興味を持っている特定の部分・動きは、「演奏」という身体全体で行っている大きな動きの中に含まれる1要素に過ぎないからです。

タンギングをするための舌の動きも、スライドを操作する右腕の動きも、息を吐くことも、時楽譜を見ている目の動きや、左腕で楽器を保持していることも、脚で地面の上に立っているのも、その時同時に行っている全ての動きは一つの身体が演奏という一つの目的を達成するためのプロセスなんです。

分解していくとたくさんの動作によって演奏が成り立っていることがわかりますが、それら全ての動きが「演奏」という行為の一つのパターンとなっています。

なので、自分が演奏を損ねるような癖だと認識している動きも、身に付けた技術だと認識している動きも、意識している動きも、意識していない動きも、演奏という行為の身体全体の動きパターンの中では、同等に深く関わっていることがあります。

そのため身体全体の動きパターンのうちの一部分を変えようとしても、パターンに含まれている他の動きが変わらなければ、演奏という行為自体が崩れたり、もとの習慣に戻ってしまいやすいのだと思います。

また、ある部分に不具合が出た時にその原因は身体全体との関わりの中にあったりします。


演奏という、一つの動きパターンについて書きましたが、この記事の1番初めに出てきた頭の動き。これももちろんこのパターンの中に含まれています。

そして初めに書いている通り、頭の動き・頭と脊椎の関係性が身体全体の動きに大きく影響しています。
つまり、演奏という動きパターンにも絶大な影響力を持っているんです。

なのでこの頭と脊椎の関係性に着目するアレクサンダーテクニークのレッスンは、動きパターン全体のパフォーマンスの向上や、新しいやり方・奏法へのアプローチにとても有効なんだと思います。

この頭の動きについては、次回のブログで書いて見たいと思います。

実は頭のことは以前にも記事に書いてまして、こちらからもご覧頂けます。
二年前のものなので、文章の感じがだいぶ違いますが笑
⬇︎頭の過度な固定が演奏に与える影響



☆10月に行うトロンボーン奏者向けの講座情報です☆


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 

2015年10月9日金曜日

望みと練習の質

練習しても練習しても、上達している実感がない。自分の練習の仕方がとても効率悪く思える。テクニックが安定しなくて、できるはずのことが全然できなくなることがある。


いきなり暗い話題から始まりましたが、2年前の自分はこんな感じでした。

当時に比べるとボディチャンスでアレクサンダーテクニークを学び始めて、楽器演奏の技術は、ぐんと伸びるときもあればゆっくり変わっていくときもありまちまちだけど、以前よりも確実に上達している実感を感じられるようになりました。
ミスをすることもあるし、まだまだこれから身につけられる技術はたくさんあるけれど、今自分にできることへの信頼が以前よりも強くなりました。

このごろ、自分の音楽活動にアレクサンダーテクニークを取り入れることで、こんな風に練習の質が変わったのはなぜだろう?と興味が湧いています。


動きの質が以前より繊細になったから?
観察力が育ったから?
体の動きの可能性や構造への理解が深くなったから?

どれもすごく関係している要素だと思います。
でも練習の質を変えたのはそれだけではないように思います。





自分が何を望んでいるのかを丁寧に観察するようになったことが練習の質を大きく変えるきっかけになったのではないか?と考えます。


練習する時の「望み」ってなんでしょうか?


考えてみれば、大学の半ばあたりから周りのレベルについていくのに必死で、オーケストラやアンサンブルをしていても周りに迷惑をかけないように、足を引っ張らないようになんとかその場をやり過ごすことに追われる日々でした…やり過ごせていたかどうかはさておき…

せめてこのレベルを維持しないと。
ここは失敗できないからよく練習しておかないと。
今まで一緒に演奏していた仲間や演奏の機会をくれる人達から、見放されてしまったらどうしよう…という怖さもありました。
そんな思考が、自分を練習へと駆り立てていました。

「ダメ出し」ばかりを有難く受け取り、同じことを言われないようにせっせと練習する。次第に自分の演奏への評価をほとんど他人に委ねるようになっていました。


「望み」が見えにくくなっている状態ですね。

この状態で、当時様々なメソッドや教則本を試みましたが、良くなっていく実感はなく、実際ほとんど効果がありませんでした。


ボディチャンスで学び始めた時に、僕がすぐにこのアレクサンダーテクニークを気に入ったのは、その人の望みが何であるかをとても丁寧に繊細に扱い、尊重し、その望みを探求するために必要な安全な場があるからです。

そしてそれは、自分1人でもできることなんだと学びました。
音楽をしていく上で、やはり自分の外から得る考えや情報は山ほどあります。
時には「こうあるべきだ」「その考えは間違っている」といった強い意見に触れることもありますが、そんな時でも自分は自分を尊重することができ、自分を尊重しながらその意見を受け取るも別の考えを採用するも選択でき、戸惑いがあれば、そこに時間をつくってやることができるんだと思います。


ボディチャンスのレッスンを初めて受けた一月後に、ソロの演奏会があありました。曲を選ぶ時に「この曲を演奏してみたい!」って心から思えたのは大きな一歩でした。
そしてその望みを尊重し、練習の1日1日をその望みへ方向づけていくことができたのは、ボディチャンスでの学びがあったからこそだと思います。

ボディシンキングのコーチ資格をもらいこれからレッスン活動をしていく上で、改めてアレクサンダーテクニークを伝えたい理由を再認識することができました。



10月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ