2015年11月27日金曜日

トロンボーン奏者の左手のために②

最初はトロンボーンを左手で支えているのに、気がつくとスライドを動かす右手で支えている。
自分は学生の頃からずっとこの傾向にありました。

楽器の重さが右手にのしかかるのは、スライドの動きや口とマウスピースの関係を見ても損が多いように感じます。

自分なりに、相談したり、調べたり、考えたりしましたが、「左手でしっかり楽器を支えること」ってところに行き着くのです。

左手で支えようと思ってるのに、気づいたら右手に移っている。

僕は当然のように左手の問題だと考えていました。

・握力が足りない
・筋力が足りない

左手で持ち続けられないから、右手に移ってしまうと。

それが起こる度に、左手でしっかり持つということを繰り返し意識し直していました。


でも実際、楽器の重さが右手に移るとき、右手では何をしているだろう?

観察してみます。

すると、スライドを動かすときに右手で楽器を上方向に押し上げている動作に気づきました。
特に手前のポジションから離れたポジションにいくときに顕著に見られました。

そして右手で楽器を上に押し上げた時、重さを右手で支えていたのです。

推測だけど、もしかしたら左手が疲れて右手にバトンタッチしていたのではなく、右手自ら楽器を持ち上げるようなことをしていたのではと思いました。


そこで演奏する時の楽器の角度、スライドの角度を見ます。
僕はスライドの先が少し下向きになる角度なのですが、やっていた右手の
動きはどちらかと言えば水平に近い動き。
そのため右手が前後に動く度に楽器が持ち上げられていたのです。

そこで改めて演奏する時のスライドの角度に沿って、右手を動かすと、左手から右手に楽器の重さが移ることもかなり減りました。

ちょっとしたことだけれど、今回は問題視していた部分から視野を広げてみることが役に立ちました。






11月・12月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!詳しくは下記リンクからどうぞ!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 







2015年11月25日水曜日

トロンボーン奏者の左手のために①

トロンボーン奏者の左腕のために



この頃、練習をする中で
・音がキレイにつながらない
・演奏中、楽器がぶれる
・左腕が疲れやすい

ということについて考えてみました。
楽器がぶれるから音がキレイに並ばないのか?

楽器がぶれないようにしようと思ったとき、楽器を安定させるために左手で楽器をしっかり固定し、身体もなるべく動かないようにしているのに気がつきました。

楽器を左手で固定、身体も動かないようにすると、音のつながりはさらにぎこちなくなり、余計に左腕も疲れてしまいます。


トロンボーンは、演奏中スライドが伸縮するため絶えず重心が移動します。
楽器自体が大きく、重さのあるものなので、動き続けるトロンボーンを左手「だけ」で捕まえておくのは大変です。

以前アレクサンダーテクニーク教師のサラ・バーカーさんは、水の入ったペットボトルを逆さにして手のひらの乗せながら、動物がバランスをとり続けるためには動いている必要があると仰っていました。


直立した状態で、腕を大きく振り回します。

頭から胴体、脚にかけて、つまり腕以外を動かないように固定する場合と、逆に固定せず動けるようにしながらする場合と2回試します。

どちらの場合も腕が動くことで、身体の軸や脚も影響を受けると思います。

そして軸・脚を固定していた時と、動けるようにしていた時とでは、動かしている腕のラクさや動かしやすさに違いがあったのではないかと思います。


トロンボーンを持ち上げる時、トロンボーンを演奏する時も、頭から胴体、脚にかけてを動けるようにすると、トロンボーンの重さやバランスの変化、右腕とスライドの動きを左腕だけで支えずに、身体全体がサポートしてくれるようになります。

トロンボーンを持つのは左手だけではなく身体全体で支えていると、左手の負担も減るし、楽器のぶれも少なくなるのではと思います。

僕自身は音のつながりがスムーズになり、発音のしやすやに変化が出たのと、音もあたりやすくなりました。

発音や音のあたりはずれは、今まで唇や舌、息中心に考えていましたが、楽器を持つ・構えるという動作…楽器をどう扱うかという点に直接つながるこの動きが、演奏技術の向上や発揮にとっても大きな可能性を持っているんじゃないかと感じます。






11月・12月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!詳しくは下記リンクからどうぞ!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 










2015年11月9日月曜日

3日連続の教師養成コースで。

今週は3日連続でボディチャンスの教師養成コースでした!


連日クラスに出るなんて久しぶり。濃い時間でしたがその分疲れました。


3日間と時間もたっぷりなのでアレクサンダーテクニークを学んでいることは自分にとってどんな意味があるんだろと改めて問いかける時間になりました。


【演奏したいっていうぼく自身の望み】

身体の使い方をマスターするためでも、良い姿勢・良いブレスで演奏するためでもなく、自分を表現するため。そのために学んでるんだーって思いました。

学び始めた頃は、身体が力んで固くなって音が全然出なくなってしまった時期でした。曲どころか音階でさえまともに音が並ばない。そのため身体を力んでしまうことや、前の習慣に戻ってしまう自分をすごく責めていました。

正しい身体の使い方、正しい姿勢・ブレスを身に付けたら前のように音がでる。演奏もきっと良くなると思っていました。


しかしそうしていると、演奏したいという思いとうまく釣り合いがとれなくなり、徐々にストレスを感じるようになりました。


演奏しようとすると、いつもの習慣が現れ、結果うまくいかない。そしたら必死でその習慣にフタして正しい使い方をやらなきゃって。そうしてると演奏したいという思いがどこかへ行ってしまうんです。


僕の通うボディチャンスでは、その人の「望み」を大切に扱いますが、僕は、その「望み」とアレクサンダーテクニークの学びを繋げることを難しく感じていました。



僕は自分の身体が不必要に力んだり、習慣・クセが出てしまうことを強く否定していました。それってつまり今の自分の「演奏するという行為」そのものを否定してしまうことになっていたんだと思います。

たとえ力んでいようが、習慣が出ようが、それでうまくいかなかったとしても、それは演奏したくて、演奏するためにやったことで、身体はやりたいことのために働いてくれてるんです。


だったらそれを否定するのではなく、もっと協力的になってやったらどうか?

悪いものを正しいものに取り換えるのではなく、何が起こったかをただ観察する。

観察することで気づきや疑問が生まれます。

たとえ何度も同じ習慣が出ようと、その都度気づき、学びが深まります。

それは今の自分の「演奏するという行為」を捨てて新しいものを探すことではなく、今の「演奏するという行為」の中で気づいていくということ。


それは僕にとって、自分自身の力で上達していくことで、音楽をする自分と向き合い探求を続けることで、健やかな音楽生活を送ることです。


その中で、アレクサンダーテクニークは、自分に対する気づきを、より多く、より繊細にするのをとても強力にサポートしてくれているんだと改めて実感しました。






☆11月に行うトロンボーン奏者向けの講座情報です☆



森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 

2015年10月14日水曜日

身体はひとつ!部分は、「演奏」の動きパターンに含まれる

アレクサンダーテクニークでは、頭の動き、頭と脊椎の関係性が身体全体の動きに大きく影響するという視点からレッスンを行うのが特徴です。


トロンボーンの練習をしていて身体のことを意識すると言えば、唇や顎、舌、呼吸、腹筋、腕・手・背中(姿勢)など、実際に楽器を操作したり演奏に直接関わるような部分を意識することが多いと思います。トロンボーン以外なら指や脚など他にもたくさんあると思います。


これらの身体の部分やそこで行っている動きについて、演奏を良くするための可能性や演奏を損ねる要因を感じたり、やりづらさや力み・痛みなどを感じて興味を持ったとき、その部分以外で起こっていることも見過ごせません。


興味を持っている特定の部分・動きは、「演奏」という身体全体で行っている大きな動きの中に含まれる1要素に過ぎないからです。

タンギングをするための舌の動きも、スライドを操作する右腕の動きも、息を吐くことも、時楽譜を見ている目の動きや、左腕で楽器を保持していることも、脚で地面の上に立っているのも、その時同時に行っている全ての動きは一つの身体が演奏という一つの目的を達成するためのプロセスなんです。

分解していくとたくさんの動作によって演奏が成り立っていることがわかりますが、それら全ての動きが「演奏」という行為の一つのパターンとなっています。

なので、自分が演奏を損ねるような癖だと認識している動きも、身に付けた技術だと認識している動きも、意識している動きも、意識していない動きも、演奏という行為の身体全体の動きパターンの中では、同等に深く関わっていることがあります。

そのため身体全体の動きパターンのうちの一部分を変えようとしても、パターンに含まれている他の動きが変わらなければ、演奏という行為自体が崩れたり、もとの習慣に戻ってしまいやすいのだと思います。

また、ある部分に不具合が出た時にその原因は身体全体との関わりの中にあったりします。


演奏という、一つの動きパターンについて書きましたが、この記事の1番初めに出てきた頭の動き。これももちろんこのパターンの中に含まれています。

そして初めに書いている通り、頭の動き・頭と脊椎の関係性が身体全体の動きに大きく影響しています。
つまり、演奏という動きパターンにも絶大な影響力を持っているんです。

なのでこの頭と脊椎の関係性に着目するアレクサンダーテクニークのレッスンは、動きパターン全体のパフォーマンスの向上や、新しいやり方・奏法へのアプローチにとても有効なんだと思います。

この頭の動きについては、次回のブログで書いて見たいと思います。

実は頭のことは以前にも記事に書いてまして、こちらからもご覧頂けます。
二年前のものなので、文章の感じがだいぶ違いますが笑
⬇︎頭の過度な固定が演奏に与える影響



☆10月に行うトロンボーン奏者向けの講座情報です☆


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 

2015年10月9日金曜日

望みと練習の質

練習しても練習しても、上達している実感がない。自分の練習の仕方がとても効率悪く思える。テクニックが安定しなくて、できるはずのことが全然できなくなることがある。


いきなり暗い話題から始まりましたが、2年前の自分はこんな感じでした。

当時に比べるとボディチャンスでアレクサンダーテクニークを学び始めて、楽器演奏の技術は、ぐんと伸びるときもあればゆっくり変わっていくときもありまちまちだけど、以前よりも確実に上達している実感を感じられるようになりました。
ミスをすることもあるし、まだまだこれから身につけられる技術はたくさんあるけれど、今自分にできることへの信頼が以前よりも強くなりました。

このごろ、自分の音楽活動にアレクサンダーテクニークを取り入れることで、こんな風に練習の質が変わったのはなぜだろう?と興味が湧いています。


動きの質が以前より繊細になったから?
観察力が育ったから?
体の動きの可能性や構造への理解が深くなったから?

どれもすごく関係している要素だと思います。
でも練習の質を変えたのはそれだけではないように思います。





自分が何を望んでいるのかを丁寧に観察するようになったことが練習の質を大きく変えるきっかけになったのではないか?と考えます。


練習する時の「望み」ってなんでしょうか?


考えてみれば、大学の半ばあたりから周りのレベルについていくのに必死で、オーケストラやアンサンブルをしていても周りに迷惑をかけないように、足を引っ張らないようになんとかその場をやり過ごすことに追われる日々でした…やり過ごせていたかどうかはさておき…

せめてこのレベルを維持しないと。
ここは失敗できないからよく練習しておかないと。
今まで一緒に演奏していた仲間や演奏の機会をくれる人達から、見放されてしまったらどうしよう…という怖さもありました。
そんな思考が、自分を練習へと駆り立てていました。

「ダメ出し」ばかりを有難く受け取り、同じことを言われないようにせっせと練習する。次第に自分の演奏への評価をほとんど他人に委ねるようになっていました。


「望み」が見えにくくなっている状態ですね。

この状態で、当時様々なメソッドや教則本を試みましたが、良くなっていく実感はなく、実際ほとんど効果がありませんでした。


ボディチャンスで学び始めた時に、僕がすぐにこのアレクサンダーテクニークを気に入ったのは、その人の望みが何であるかをとても丁寧に繊細に扱い、尊重し、その望みを探求するために必要な安全な場があるからです。

そしてそれは、自分1人でもできることなんだと学びました。
音楽をしていく上で、やはり自分の外から得る考えや情報は山ほどあります。
時には「こうあるべきだ」「その考えは間違っている」といった強い意見に触れることもありますが、そんな時でも自分は自分を尊重することができ、自分を尊重しながらその意見を受け取るも別の考えを採用するも選択でき、戸惑いがあれば、そこに時間をつくってやることができるんだと思います。


ボディチャンスのレッスンを初めて受けた一月後に、ソロの演奏会があありました。曲を選ぶ時に「この曲を演奏してみたい!」って心から思えたのは大きな一歩でした。
そしてその望みを尊重し、練習の1日1日をその望みへ方向づけていくことができたのは、ボディチャンスでの学びがあったからこそだと思います。

ボディシンキングのコーチ資格をもらいこれからレッスン活動をしていく上で、改めてアレクサンダーテクニークを伝えたい理由を再認識することができました。



10月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 

















2015年9月18日金曜日

ティーチング日記1

 

アレクサンダーテクニーク教師養成コースでの学びも7月から第二段階に入りました。

クラスの中で、ティーチングのレッスンを受けています。
ティーチングのレッスンは、クラスの中で自分が教えているところを見てもらいます。
自分の在り方や、レッスンの進め方を。

トロンボーンのレッスンや吹奏楽の指導、アレクサンダーテクニークの考えを取り入れたレッスンを既に始めていますし、教える内容や質を高めるためにこれまでも学んできましたが、実際に教えているところをリアルタイムでレッスンしてもらうのは、今まで生きてきて初めての経験です。

色んなものが露わになるので、びびりながらですが、自分の持っている定義や、習慣、反応に気づくことができるのは、すごく刺激的で楽しいです。


今日のティーチングレッスンでは、レッスンの始めの生徒さんの話をきくところで止まりました。
始めにこのレッスンで何をしたいか?どんな情報を得たいかなどを話してもらうのですが、話の途中である程度キーワードが見えてきたり、こんなレッスンになるかもっていうアイデアが湧いてくることがあります。

僕はまだ生徒さんの話が終わってないのに、既に浮かんできたアイデアでこんなレッスンになるだろうってシナリオを組み立てていました。

それ自体は別に悪いことでもないと思うし、湧いてきちゃうものは抑えることはできません。
ただ、今日自分がそうしていることに気付いた時、嫌な気持ちになりました。

話の途中でアイデアが湧いて、そこからシナリオを組み立て始めた時から、生徒さんの話を受け取っていなかったんですよね。

アイデアや予想が浮かんでくるものは抑えられないけれど、それらの考えをその時点で決定するんではなく、浮かしながら話を聴き続けられるんだっていうのが今日の収穫でした。
話を最後まで聞いたあと、浮かんでいるアイデアを選んでレッスンを進めればいい。最後まで聞いていたら違ったアイデアも出てくるかもしれない。

それに、その方がより多く生徒さんの求めているものが何か、情報を集められるし、コミュニケーションを持続できることで信頼や安心感に繋がるのではないかと思いました。

教えるその内容だけでなく、その中で行っている動作ひとつひとつを丁寧に向き合うことが、レッスンの質の向上に繋がるんですね。





森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 


2015年6月18日木曜日

☆ワークショップのお知らせ☆

☆ワークショップのお知らせ☆


『トロンボーンで音楽する人のための、ボディシンキング』

 

2013年の梅雨から、ボディチャンスというアレクサンダーテクニーク教師養成学校で学びはじめて
2年が経ちます。

 
 
音楽大学で、トロンボーンを専門にしていた僕が、アレクサンダーテクニークを学び始めたのは、ステージの上での『あがり』がきっかけでした。

大学時代、本番の舞台に立つと緊張して身体に力が入り硬くなってしまって、練習でできていたこ
とのほとんどが、舞台の上ではできなくなってしまう状態でした。

それから程なくして、自分の演奏能力に自信を無くし音の出し方さえわからなくなってしまう程の不
調に陥ってしまいました。

 
 
それまで、あがりに関しては、心(メンタル)の問題だと思っていたので、身体のことと結びつけて考
えたことはありませんでした。

当時の僕は、メンタル面では『もっと気楽になった方がいい』、身体については『力を抜いて』というようなことを意識して、なんとかリラックスして演奏しようとしていましたが、気楽にと言い聞かせて
も身体は強張ったまま。力を抜こうとしてもすぐに不安になって、また力んでしまうという状態から抜け出せませんでした。


実は、『心の緊張』と『身体の緊張』をそれぞれ別々の問題だと切り離して考えていたのです。

アレクサンダーテクニークでは、心と身体を分けることなく、一つとして考えます。
自分の考えが身体の動きにブレーキをかけていたり、動きのクセがいつもの思考パターンを引き起こすきっかけになっていることは、よくあることなんじゃないかと思います。
 

解剖学的な身体の構造にそった身体の動きを知って体験することで、音楽を表現する手段(奏法・テクニック)が明確になると、『次はミスしそうだなあ…』『このフレーズはきっと吹けない…』といったネガティブな妄想・不安が減り、ステージの上でもやるべきことがはっきりしているので、頭が真っ白になるようなことも無くなっていきました。
そして、その場で感じる音楽を表現する自由が増えていきます。


うまくいかないのは、『心だけの問題』『身体だけの問題』として捉えていた僕にとっては、心と身体の自分全体のつながりを学ぶ中で得たこの体験は、とても可能性を感じさせてくれました。


このワークショップは、一日かけて実際の身体の構造にそった動きを体験して、参加者それぞれの演奏活動のシーンでそれらをどうやって活かしていくかを、学ぶためのものです。
 
 
☆こんな思いを持った人におススメです☆
 
・本番で自分の実力を発揮したい
 
・演奏の不調を克服したい
 
・演奏ってもっと楽しい/気持ちいいはずだ
 
 
 
 
『トロンボーンで音楽する人のための、ボディシンキング』
 
2015/7/25 (土)
ボディチャンス大阪梅田スタジオ
大阪市北区中崎西1-8-24アインズビル梅田901
10:00~17:00
(途中休憩あり※昼食は持参していただいても、外へ出て頂いても構いません。近くにコンビニもあります。)
 
参加費 お一人様 5000円
定員 10名
 
【学割】学生の方は2人1組で5000円の料金で参加できます。

ぜひ、当日は楽器を持ってご参加ください!
 
お申込みは、こちらへmailto:naoyuki.trombone@gmail.com
 
 
◆講師プロフィール◆
 
森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
現在もトレイニーとして教師資格取得に向け学びを続ける。
アイデア音楽教室トロンボーン講師。
 
 

2015年5月26日火曜日

場を保つ

講師をしてる友達と、共通の師である尺八の青柳先生について話てておもしろかった。

尺八、もうすぐしたら10年続けてることになる。始めたのはトロンボーンと1年しか違わないんだ…

始めた時から今に至るまで、そこまで向上心をもったことがないし、稽古以外で楽器に触った記憶なんて数えるほどしかない。珍しいことやってるって友達に見せびらかす時くらい笑
中学校からやってるけど、節目節目で辞めるタイミングはいくらでもあった。大学の四年間は自分の専門に集中した方がいいからとお休みさせてもらった。そして卒業してまた再開。

最近は人生相談したり、突然説教されてムッとしたり笑
もちろん稽古で尺八は吹くけど、練習しなきゃ!と思ったことはほぼ皆無だし、実際練習していかないし笑

でも、必要なことはきっとしつこく叩き込まれてる。何度も同じことを繰り返し言われて、悪戦苦闘してるところをニコニコしながら見ているかと思えば、すかさず同じことを注意される。

毎週同じことばかり注意されることも普通なので、楽しくない時の方が多いかもしれない。

でもだんだん吹ける曲数も増えて来て、発表会ではソロを吹かせてもらえることもある。それは楽しい。
けどやっぱり今のペース以上に頑張ろうと思ったことはこれっぽっちもなく、稽古以外では全然練習していない。
そうすると、いつの間にか初見でも曲を通せるようになってきた。
たいてい一週間空いて楽器に触れるけど、調子が悪いと思うこともほとんどない(繊細じゃないからかなf^_^;)
本番前に焦ったりすることもないし、本番で悔しいと思うことはあっても自分を責めたり落ち込んだりすることはない。

これだけゆるゆるやってて、先生には悪いかもしれないけど、練習しないことで先生に対して申し訳ないって思ったこともないんです…!

こうして文章にしてみると、ただの不真面目な生徒の話になっちゃったけど、何がおもしろいって、トロンボーンに取り組んでいる時の自分との差なんです。
少しは、この尺八奏者の僕を見習ってもいいなあ。

こんな風に、もう10年も、のびのびと尺八を演奏できる場を保ってくださる先生は、偉大です。

2015年1月31日土曜日

今その瞬間、これから奏でる一音一音を大切に。

今その瞬間の音に意識を向ける。
一音一音大切にする。
っていうのは、どういうことなんだろう?

今日のレッスンで、そんなことが話題にあがりました。

自分もこのことは、人から教わったことがあるし、レッスンを受けてくださった生徒さんも意識していらっしゃることでした。

今その瞬間の音ってどの音でしょう。
演奏中に聞こえてくる自分が出した音は、全部自分が演奏した結果です。ということは、その聞こえてくる音に意識を向けてよくしようとしても、既に出てしまった音ですから修正したり、変えたりすることはできません。

さらには、その結果として出た音に意識を向けているということは、次に出る音のことはおろそかになっていると思ったんです。

感覚的に言えば、実際に鳴った音を「今」と感じるかもしれませんが、この「今その瞬間の一音一音」というのは、実際に鳴る前の、頭の中にある音楽のことではないかと思います。

頭の中にある音楽だったら自分の思い通りにできるし、いくらでも変えていくことができます。
結果として出た音は、意識を向けなくても、ちゃんと自分に聴こえています。
だったら変えようのない出た音に注意を払うよりも、頭の中をこれから奏でる音楽でいっぱいにした方が、自分が理想としている演奏へと近づく可能性がぐんとあがると思うんです。

もともとこの考え方が自分の頭の中にあったわけではありませんでした。生徒さんとの話の中で見つけることができた、自分にとってしっくりとくる答えでした。

そして生徒さんの演奏にも素敵な変化が見られてよかったです。



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い