2014年3月13日木曜日

ピッチを含む、『音』全体でチューニング!



先日、母校の吹奏楽部へお邪魔し、合奏で指揮をさせてもらいました。
時間よりも早く着いたので、合奏前のチューニングから参加することに。

せっかく演奏会で指揮をさせてもらうのだから、一人一人の音を聞いてみたいし、なにか一言二言話してみたかったので、各楽器ごとにB♭の音を吹いてもらいました。

サックスパートにB♭の音を吹いてもらっている時に、なんだかあとちょっとで合いそうなのになかなか音が合わないんです。
どうしたらいいかなあ…と思い、生徒に、

『チューニングって何をすることかなあ?』と聞いたら、

「音程(ピッチ)を合わせることです」

うん、違いない!と思います。
でも聞こえているのは、ピッチだけ??

音程は、その音を構成する一つの要素にすぎないのでは?
つまり、聞こえているのはピッチだけではなく、音色や響きや音量などを全て含んだ『音』なんです。

なのにチューニングになると、『音程』という1要素を強烈に意識するからか、音色や大きさ、響きなどの他の要素を一切シャットダウンし、音程のみにフォーカスしようとしてしまうのかもしれません。
もちろん私達はふだん『音』全体を聞いているのだし、『音程』だけを聞くのは現実的に無理なのではと思います。


そこで、
『隣から聞こえる音は、どんな音程・音色・響き・大きさだろう??音程を含めた音全体を聞きながら吹いてみよう。』

と提案してみると、すぐに変化が出ました!
音程は合ったし、一人一人の音の方向性がはっきりとして、サックスパートのサウンドの存在感がぐんと増えました!

さらに、全体を見ていくと、
隣から聞こえてくるその音を、奏でているのは誰?
今日はどんな髪型をしてる?
どんな服装だろう?
今日はどんな部屋で吹いているんだろう?

なぜここまで含めるのかというと、合わせようとしている『音』は目に見えないからです!
目の仕事は『音』を見ることではなく、楽譜や指揮や客席、目の前の景色、一緒に演奏する共演者達を見ることだと思うんです(^^)


その場の思いつきのアイデアでしたが、おもしろい体験になりました。
僕自身も、学生のころ、今思えば『音程』だけにフォーカスしていたと思います。
それにしても、学生時代、チューニングのピリピリと張り詰めた時間がなんとも苦手だったなあと、しみじみ思いました笑



森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

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