2015年11月27日金曜日

トロンボーン奏者の左手のために②

最初はトロンボーンを左手で支えているのに、気がつくとスライドを動かす右手で支えている。
自分は学生の頃からずっとこの傾向にありました。

楽器の重さが右手にのしかかるのは、スライドの動きや口とマウスピースの関係を見ても損が多いように感じます。

自分なりに、相談したり、調べたり、考えたりしましたが、「左手でしっかり楽器を支えること」ってところに行き着くのです。

左手で支えようと思ってるのに、気づいたら右手に移っている。

僕は当然のように左手の問題だと考えていました。

・握力が足りない
・筋力が足りない

左手で持ち続けられないから、右手に移ってしまうと。

それが起こる度に、左手でしっかり持つということを繰り返し意識し直していました。


でも実際、楽器の重さが右手に移るとき、右手では何をしているだろう?

観察してみます。

すると、スライドを動かすときに右手で楽器を上方向に押し上げている動作に気づきました。
特に手前のポジションから離れたポジションにいくときに顕著に見られました。

そして右手で楽器を上に押し上げた時、重さを右手で支えていたのです。

推測だけど、もしかしたら左手が疲れて右手にバトンタッチしていたのではなく、右手自ら楽器を持ち上げるようなことをしていたのではと思いました。


そこで演奏する時の楽器の角度、スライドの角度を見ます。
僕はスライドの先が少し下向きになる角度なのですが、やっていた右手の
動きはどちらかと言えば水平に近い動き。
そのため右手が前後に動く度に楽器が持ち上げられていたのです。

そこで改めて演奏する時のスライドの角度に沿って、右手を動かすと、左手から右手に楽器の重さが移ることもかなり減りました。

ちょっとしたことだけれど、今回は問題視していた部分から視野を広げてみることが役に立ちました。






11月・12月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!詳しくは下記リンクからどうぞ!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 







2015年11月25日水曜日

トロンボーン奏者の左手のために①

トロンボーン奏者の左腕のために



この頃、練習をする中で
・音がキレイにつながらない
・演奏中、楽器がぶれる
・左腕が疲れやすい

ということについて考えてみました。
楽器がぶれるから音がキレイに並ばないのか?

楽器がぶれないようにしようと思ったとき、楽器を安定させるために左手で楽器をしっかり固定し、身体もなるべく動かないようにしているのに気がつきました。

楽器を左手で固定、身体も動かないようにすると、音のつながりはさらにぎこちなくなり、余計に左腕も疲れてしまいます。


トロンボーンは、演奏中スライドが伸縮するため絶えず重心が移動します。
楽器自体が大きく、重さのあるものなので、動き続けるトロンボーンを左手「だけ」で捕まえておくのは大変です。

以前アレクサンダーテクニーク教師のサラ・バーカーさんは、水の入ったペットボトルを逆さにして手のひらの乗せながら、動物がバランスをとり続けるためには動いている必要があると仰っていました。


直立した状態で、腕を大きく振り回します。

頭から胴体、脚にかけて、つまり腕以外を動かないように固定する場合と、逆に固定せず動けるようにしながらする場合と2回試します。

どちらの場合も腕が動くことで、身体の軸や脚も影響を受けると思います。

そして軸・脚を固定していた時と、動けるようにしていた時とでは、動かしている腕のラクさや動かしやすさに違いがあったのではないかと思います。


トロンボーンを持ち上げる時、トロンボーンを演奏する時も、頭から胴体、脚にかけてを動けるようにすると、トロンボーンの重さやバランスの変化、右腕とスライドの動きを左腕だけで支えずに、身体全体がサポートしてくれるようになります。

トロンボーンを持つのは左手だけではなく身体全体で支えていると、左手の負担も減るし、楽器のぶれも少なくなるのではと思います。

僕自身は音のつながりがスムーズになり、発音のしやすやに変化が出たのと、音もあたりやすくなりました。

発音や音のあたりはずれは、今まで唇や舌、息中心に考えていましたが、楽器を持つ・構えるという動作…楽器をどう扱うかという点に直接つながるこの動きが、演奏技術の向上や発揮にとっても大きな可能性を持っているんじゃないかと感じます。






11月・12月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!詳しくは下記リンクからどうぞ!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ
 










2015年11月9日月曜日

3日連続の教師養成コースで。

今週は3日連続でボディチャンスの教師養成コースでした!


連日クラスに出るなんて久しぶり。濃い時間でしたがその分疲れました。


3日間と時間もたっぷりなのでアレクサンダーテクニークを学んでいることは自分にとってどんな意味があるんだろと改めて問いかける時間になりました。


【演奏したいっていうぼく自身の望み】

身体の使い方をマスターするためでも、良い姿勢・良いブレスで演奏するためでもなく、自分を表現するため。そのために学んでるんだーって思いました。

学び始めた頃は、身体が力んで固くなって音が全然出なくなってしまった時期でした。曲どころか音階でさえまともに音が並ばない。そのため身体を力んでしまうことや、前の習慣に戻ってしまう自分をすごく責めていました。

正しい身体の使い方、正しい姿勢・ブレスを身に付けたら前のように音がでる。演奏もきっと良くなると思っていました。


しかしそうしていると、演奏したいという思いとうまく釣り合いがとれなくなり、徐々にストレスを感じるようになりました。


演奏しようとすると、いつもの習慣が現れ、結果うまくいかない。そしたら必死でその習慣にフタして正しい使い方をやらなきゃって。そうしてると演奏したいという思いがどこかへ行ってしまうんです。


僕の通うボディチャンスでは、その人の「望み」を大切に扱いますが、僕は、その「望み」とアレクサンダーテクニークの学びを繋げることを難しく感じていました。



僕は自分の身体が不必要に力んだり、習慣・クセが出てしまうことを強く否定していました。それってつまり今の自分の「演奏するという行為」そのものを否定してしまうことになっていたんだと思います。

たとえ力んでいようが、習慣が出ようが、それでうまくいかなかったとしても、それは演奏したくて、演奏するためにやったことで、身体はやりたいことのために働いてくれてるんです。


だったらそれを否定するのではなく、もっと協力的になってやったらどうか?

悪いものを正しいものに取り換えるのではなく、何が起こったかをただ観察する。

観察することで気づきや疑問が生まれます。

たとえ何度も同じ習慣が出ようと、その都度気づき、学びが深まります。

それは今の自分の「演奏するという行為」を捨てて新しいものを探すことではなく、今の「演奏するという行為」の中で気づいていくということ。


それは僕にとって、自分自身の力で上達していくことで、音楽をする自分と向き合い探求を続けることで、健やかな音楽生活を送ることです。


その中で、アレクサンダーテクニークは、自分に対する気づきを、より多く、より繊細にするのをとても強力にサポートしてくれているんだと改めて実感しました。






☆11月に行うトロンボーン奏者向けの講座情報です☆



森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ