2017年7月30日日曜日

変化のはじまり

健やかに、というアイデア



「健やかにトロンボーンを吹く」
管理人の森岡です。
ブログをお読み頂き
ありがとうございます。

ボディチャンスで
アレクサンダーテクニークの教師に
なるための勉強を始めた頃から
このブログを始めました。、
今まで、様々なご縁を頂き
レッスン活動をさせて頂いて
きました。

そんな僕はというと、
2008年~2012年まで
大阪音楽大学で
トロンボーンを専攻し
学びました。
今はレッスン活動が
中心になっていますが
楽器の演奏も続けていて
有難いことに演奏する場も
頂いています。
とはいっても、
学生時代に比べると
演奏ということからは
少し遠のいているのが
現状です。


今日はこのブログを書きはじめた
きっかけについて少し
お話させて頂きます。
それは、それまで
ぐるぐると回り続けていた
状況から抜け出すきっかけでした。
「健やかにトロンボーンを吹こう」
と思った時の話です。



その時の状況


アレクサンダーテクニークを学び始めるに
到るプロセスは大学時代まで遡ります。


念願の音楽大学に入学した僕は、
各地から集まってきた同級生や
先輩たちの演奏から刺激を
受ける毎日を送っていました。

同級生や先輩たちと
一緒に吹くことや、
先生のレッスンも
刺激的で楽しかったし、
気後れなんかもして
いませんでした。

アンサンブルに誘ってもらったり
することは自分が仲間として
認めてもらえたみたいで
嬉しかったです。

そんな中、ある特定の
シチュエーションでは
こんな経験もしました。

トロンボーン合奏
と呼ばれる、トロンボーン専攻生が
集う授業でのカルテットの発表や、
先生たちを前に演奏する実技試験、
上級生の人たちとのアンサンブル
をするときにそれは起こります。


いざ発表の番がまわってきた時、

試験場に入った時、

上級生のいる練習部屋へ入った時、

・注意が散漫になった
・演奏することに集中できなくなった
・身体が固くなった
・楽器が重く感じた
・音が出るか、ちゃんと演奏できるか
とてつもなく不安になった
・胸が詰まったような、内臓が
圧迫されたような感じがした
・演奏や練習が終わると
背中痛や腰痛、肩こりや頭痛が
するようになった


初めはそんなことが起こりつつ
演奏を続けてこなしていました。
しかし大学3年を過ぎて、さらにひどくなり、
4年の頃は音を出そうとするだけで
震え始めるようになってしまいました。

このとき自分の演奏についての
明確さを失っていました。



状況に対する僕自身のアイデア


このような状況で、
失望とあきらめの中、中途半端に
大学生活を送っていた僕は
どこか自分が大きな障害を被った
被害者だと思っていました。
この壁さえなければ、
演奏家として進んでいけるのにって。
「どうやって演奏していいかわからない」
という思いのまま、
残りの演奏会へ出演し、
そのまま卒業を迎えました。


大学を卒業してからは、
演奏家として再起できるように
取り組むことに決めました。
学生時代とは違い、
障害と思っている自分の状況は
自分で引き起こした過ちだと
思うようになりました。

それは自分の弱さや甘さ、
からくるものだと。
そんな自分を責めていました。

この状況の中で
僕の考えたことは、
正しいかどうかわかりません。

でもはっきりとしてことは
学生時代と社会人になってから
抱いたそれぞれのアイデアは
状況を悪化させる一方で、
変化を起こしませんでした。

自分を変える役には立ちませんでした。




状況に対する新しい問いかけ


大学を卒業した2012年の秋。
改善の兆候が得られないままでいた
僕はその年の年度末までやったら
楽器を辞めようと思いました。

そんな時、SNSで
ホルン奏者/アレクサンダーテクニーク教師の
バジルクリッツァーさんのブログを
見かけました。

その頃、すぐにアレクサンダーテクニーク
というものには興味を持ちませんでしたが、
学生時代に、緊張や痛みに苦しんで
おられた体験が自分と重なりブログを
読み進めていました。

そこで特に僕の気を引いたのは、
このバジルさんという人は、
僕のような境遇にいながら、
自分とは全く別のアイデアを持っているということ。


その演奏への取り組み方は、
自分に対してとても協力的だし
自分に対してとても親切だ。

自分の楽器に対する情熱を、
大事に守り育む優しさを持って、
自分自身に協力している。

そんな印象を持ちました。


もし、自分もそんな風に取り組めたらどうだろう?


ふと自分に対してそう問いかけました。
すると、
ふっと身体の力が抜け楽になりました。
本当に長い間凍っていた氷が解けたように
涙が出てきて、
音楽に対する思いが込み上げてきました。

ぼくはその状況の中で僕自身のアイデアに
苦しみ続けていたんだと思います。
バジルさんのブログを読んで、
自分の考えが
変わりました。

自分自身に協力的になろう。
そう思うと、身体が軽くなり、
楽器を吹いてみたくなりました。

「健やかにトロンボーンを吹く」

これが変化の始まりだったと思います。


それではまた。






森岡尚之 / プロフィール

現在、アレクサンダーテクニーク教師
になるための実習レッスン中


【レッスン情報】
・心斎橋 MIKIミュージックサロン
・茨木市 アイディア音楽教室 
にてアレクサンダーテクニーク講師
としてグループレッスンを行っています。

8月5日~8日は、滋賀県で行われる
トロンボーン合宿2017に講師として参加します。
トロンボーン合宿2017
※どの楽器でも参加可能!


レッスン・ブログ記事へのお問い合わせは
下記メールアドレスにお問い合わせください。

 naoyuki.trombone@gmail.com(森岡宛)

2017年7月11日火曜日

生徒の探究心と立ち会うために

ブログ「健やかにトロンボーンを吹く」
管理人の森岡です。
ブログをお読み頂き
ありがとうございます。
 
 

5月から告知をしておりました、
アレクサンダーテクニーク教師
になるための実習レッスン。
先日お一人目が10回の
レッスンを終えられました。

今日はそのレッスンの中での話。

レッスンの場で、自分自身が
磨かれる経験をしました。



 
 
 
いきなりですが皆さんにとって
レッスンとは、どんな場ですか?

色々な考えがあると思います。
今回の実習レッスンでは、
「生徒さんの探求に立ち会う場」

そんな印象を持ちました。


 
 
生徒さんの探究

レッスンで取り組みたい
テーマはどんなことかを尋ねると
こんな話がでてきました。

「スライドのポジションが変わると
音色も変わる。これについて
ずっと前から考えていたんです。」

 
 
彼の演奏する楽器は
トロンボーンです。

 
 
専門的にトロンボーンを
学んでおられて
演奏技術は確かに
訓練されています。
 
僕は彼の
演奏を聞いたとき、
そのポジションによる
音色の変化に何も
気がつきませんでした。


また僕は同じトロンボーン奏者
であるため、許容範囲を含め
トロンボーンの演奏はそういうもの
だという思い込みがあったのだ
と思います。
(トロンボーン奏者であれば、
例えばFの音が1Pos.で出したのか
それとも6pos.で出したのか
聞いていてわかることがあるように)

 
 
彼自身も、その違いが
ほんの微細なもので
誰かが気に留めるほどの
ことではないことも
承知していました。

これまでに誰かに
指摘されのでもなく、
それを改善するべき問題として
扱っているのでもなく、
彼自身のただただ
純粋な好奇心という感じでした。


 
 
レッスンをするという決断

上に書いたように僕には
最初彼の話す
音の違いそのものが
わかりませんでした。
 
 
「自分には教えられない」
「トロンボーン奏者として
アドバイスをする自信がない」
そんな考えがよぎりました。

でもその考えを持ち続けて
レッスンを進める上で役に立つの?
その考えから生徒さんは
何かを学べるの?
そう思うと、今考えるべきこと
ではないとわかります。

改めて自分が教えられるか
どうかという心配から
彼自身の探究心と
学ぶ力に目を向け
レッスンをすることを決めました。


 
 
レッスンで求められたこと

それは、自分の使い古した
アイデアの引き出しをまさぐる
ことではなく、
今起こっていることを
観察し情報を集めることでした。
彼にお願いして
もう一度演奏してもらいました。

 
そうして情報を集めて
気づいたことは、
一言に表現した「音」の中にも
発音、音程、長さ、響き、
と多様なの要素があること。
そして発音と響きに関して、
1~4pos.間と5~6pos.間とで
微妙だけれど僕にも
違いが聞こえたこと。


 
それからもう一つ、
近いポジションで演奏する時と
と遠いポジションで演奏する時で
身体の動きの質に違いがあったこと。
(もすこしはっきり言えば、
全身の雰囲気が変わった)
(もっとはっきり言えば、
頭と脊椎の動きに変化があった)


そこでポジションによる
音の違いについて、
楽器の管の長さによる影響
専門の知識がないため
わからないと伝えた上で、
身体の動きの質に違い
があったことを話しました。


 
 
生徒さんの探究に立ち会うこと

観察で得た情報から、
動きの質に影響していた
いくつかの動作について
新しい提案をした結果、
より均一な音に近づいていったようでした。

僕にも動きの違いと
音の変化がわかりました。
 
レッスンを進める中で、
自分がトロンボーンの
演奏をいかに習慣的に
見て聞いているのか
何度も気づかされました。
トロンボーンを演奏するという行為にある
数多くの手順と可能性に着目できたのは
大きな発見でした。

 
 
生徒さんの探究心
に立ち会うためには、
教師はそれ以上の
探究心をその場で
持つ必要がある
のかもしれません。


今回のレッスンは
ぼくにとってもたくさんの
集中を必要とするものでした。
文章にしている今でも
ハラハラするような緊張感が
残っています笑

前回のハエたたきブログ
とはテンションがえらい違いです笑






 
森岡尚之 / プロフィール

現在、アレクサンダーテクニーク教師
になるための実習レッスン中


【レッスン情報】
・心斎橋 MIKIミュージックサロン
・茨木市 アイディア音楽教室 
にてアレクサンダーテクニーク講師
としてグループレッスンを行っています。

8月5日~8日は、滋賀県で行われる
トロンボーン合宿2017に講師として参加します。
トロンボーン合宿2017
※どの楽器でも参加可能!


個人レッスン、グループレッスン、
吹奏楽部・楽団等のレッスン
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下記メールアドレスにお問い合わせください。

 naoyuki.trombone@gmail.com(森岡宛)






画像は本文と関係ありません。。















2017年7月5日水曜日

スタート地点






蒸し暑い平日の昼間







部屋にハエが入ってきた。

飛んで火に入る夏の虫ー

小さい、すばやい、飛ぶ




家の外を飛び回ってればいいものを





新聞紙を手にとり、くるくると丸めた。

丸めた後、ぐっぐっと押して面を作った。

視界にハエの姿を捉えた。

新聞紙を振り上げ

飛びまわるハエの姿を目で追う。




壁に止まった。

ハエをよく見て

振りかぶった位置から

ハエの姿を打つ。




ハエはまだ飛んでいる。

新聞紙はハエのいた所よりも

4センチほど離れた低いところに当たった。







次はドアに止まった。

今回もハエをよく見た。

肘を曲げて新聞紙を構え

ハエ目掛けて肘を勢いよく伸ばした。







ハエはまだ飛んでいる。

また新聞紙は

4センチ離れた低いところに当たった。







また視界にハエの姿を捉えた。

今度はカーテンに止まった。

ハエをよく見て

肘を曲げて新聞紙を構える。

今回は打つ前に

曲げた肘と新聞紙を見た。

自分が思っていた位置よりも

4センチほど低い位置で構えていた。










トロンボーンも音楽も関係なくてすいません。

どうして、4センチのズレを知らなかったんでしょう。

それにどうして疑うこともなく考えたとおりに実行している思っていたのでしょう。

どうやって判断しているのでしょう。










もうハエは飛んでいません。