2014年2月18日火曜日

先生のやりたい音楽と生徒のやりたい音楽

先日のBODYCHANCEプロコースのクラスの中で、「教える」って具体的にどんな行為をすることか?という話がありました。
例えば、僕だったら、相手のお話を聞いて、演奏を見て聞いて、考えて、会話して、また演奏を見て聞いて、会話をして、会話の中には質問や提案、フィードバックなど含まれてて。だいたいそんな流れの作業をしているように思います。


じゃあ、それらの行為の中で、自分が伝えたいメッセージはなんだろう?何を教えられるんだろう。
中学校や高校の吹奏楽部へレッスンに行く度に、トロンボーン講師として呼ばれた僕に何ができるだろう、とぼんやり考えていました。

トロンボーン講師として呼んで頂いた時、先生や生徒から頂くリクエストは、「ちゃんと吹けるように。音程を合わせて。高い音を出せるように。音が汚いからキレイな音が出せるように。」などなど。
トロンボーンの専門家としてレッスンに行くのだから、これらの悩みについて考え、アイデアを提案するのが僕の役割の一つだと思います。
でもレッスンをしていると、なんだか自分がモヤモヤしたり消化不良になることがある。…




この頃、学校の吹奏楽部へレッスンに行くとき、どこへ行ってもある共通の興味を抱くようになりました。


指揮をされている顧問の先生が、どんな音楽をしたいのか?生徒たちはそれぞれどんな演奏をしたいのか?
その音楽を、どんなふうに受けとって感じているのか。ということが知りたいのです。
これは、レッスンを行うためでもあり、僕個人の勝手な興味でもあります。

技術の習得や、向上はどんな演奏がしたいか・どんな音楽をしたいかということと切っても切れない関係にあるんじゃないかと思うんです。



どんな演奏がしたいか、というのは、こうすべきとか、こうでなくちゃいけない、とは違って。
こんな風に演奏してみたいとか、この曲はこんな感じとか、その人の言葉ならどんな言葉でもよくて、言葉じゃなくて歌かもしれないし、その人にしかわからないイメージかもしれないし、たぶん言葉だけでは表現できないもので。探すよりは、ふっと湧いてくるようなものだったり。

もし、練習中や演奏中に「ピッチを合わせて」「タテを揃えて」「キレイな音で」「テンポ合わせて」「もっと大きく、もっと小さく!」という声ばかりが聞こえてくるなら、「こんなふうに演奏したい」と言ってる声に耳を傾けてみてほしいんです。



僕がレッスンでお手伝いできることは、
「先生と生徒のやりたい音楽を実現するためにはどうすればいいか、一緒に考えて、アイデアを提案すること」
 

僕がレッスンでできることは、
「僕自身が、生徒の前で僕のやりたい音楽を演奏したり話したりすること」


僕がレッスンで教えることができるのは、
「生徒たちも、自分のやりたい音楽について考えるのは自由で、それを表現すること・表現しようとして失敗することは許されているということ」


今はそう考えています。


自分のやりたい音楽に気づいて、その音楽を演奏しようとするとき、これまで身につけた技術は能動的に働くし、これから身につけたい技術もはっきりするのだと思います。



まだまだ未熟ですが、今考えていることを、整理したくて書いてみました。

 


森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

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