・パート練習=間違い探し??
吹奏楽部の日頃の練習といえば、合奏や個人練習に加えて、パート練習(同じ楽器の人同士で一緒に練習する)やセクション練習(同属の楽器同士や、同じフレーズを担当する楽器同士で練習する)といった練習が一般的かと思います。
もちろん、そのやり方や目的はバンドによって様々だと思います。
パート練習やセクション練習の特長といえば、生徒だけで練習を進めていくこと。先輩になって、パート練習をどうやって進めていけばよいか不安になることもあるかもしれません。
パート練習の主な目的の一つは、同じ楽器同士のアンサンブルの向上かと思います。ハーモニーや音程、フレーズの歌い方、テンポ、リズム、サウンド、タイミングなどなど、意見を交わしたり、一緒に演奏することを重ねることで精度が増し、だんだん合ってくると思います。
さて、そのアンサンブルを合わせていく作業をパート練習の中で行うとき、
はじめからずれているところ・できてないところばかりを探そうとしていないでしょうか?
僕自身の経験ですが、はじめて先輩になったころ、パート練習をどう進めていけばアンサンブルをまとめられるのかわからず、とにかくずれているところを探して指摘するような傾向がありました。
1度演奏してみて、なんてコメントしてよいかわからないときは、さらに必死にずれているところを探してたように思います。さらには、指摘したところがうまくいっても、すぐに「でもここがダメだ、ここが合ってない」と別のダメ出しが始まるなんてことも。
もちろん、これはいい演奏にしたいからやっていたことで、僕にとってはこのやり方が、「真剣で、けじめのついた、ちゃんとした」パート練習だと思っていたのです。
けれどそうしてダメ出しばかりしていると、ダメ出ししている側も・される側も、緊張してのびのびと演奏できなくなってしまいます。
ましてや、はじめからできてないところを探されていると思うと、萎縮してしまうし、気持ちよく演奏できません。
アレクサンダーテクニークの教師養成過程の、「ティーチングメソッド」のクラスでこんなことを教わりました。
「ただ興味をもって、相手の話を聞き、相手の動きを観察する。」
これは、僕が楽器のレッスンをしたり、合奏指導をする際にもとても役に立っています。
これからパートで奏でる演奏を、どんな音がするかな?どんな風に聞こえるかな?と、ただ興味をもって聴いてみます。
すると、ダメなところを探していたときよりも、演奏をより全体的に聴くことができます。
思わずかっこいいなあ!と思ったり、きれいなハーモニーだなあと感じたり、ここは音程がずれているよね、とか、ここが合うともっと素敵だな、などなど。様々な情報を受け取ることができます!いい面に気づくこともできれば、ずれている部分に気づくこともできます。
いい面もよくない面も全て含めた、今の自分たちの演奏が聞こえてきます。
そうすると、そこからどんな演奏にしていきたいかな?という視点で考えやすくなります(^-^)
また、音程やリズムといった部分のみにとらわれないで、音楽全体が聞こえてくるので、曲に対するイメージも膨らみやすくなるのでは!
この、「どんな演奏にしたいか」っていうイメージはアンサンブルをまとめていく上で大切なものだと思います。そのイメージが、方向性を示してくれるからです。
また、できてないところをお互いに教えあうことは必要だと思いますが、いいところ・できてるところもなかなか自分では自覚してないことが多いので、お互いに「ここがよかったと思うよ」と言いあえると、より自分の演奏を客観的に考えることができますね(^-^)
特に、一年生や楽器を始めたばかりの人は、演奏がよかったのかどうか自分で判断することは難しいので、よかったところや、上達しているところを伝えることは、先輩としてとても大切な役割だと思います。