2013年12月1日日曜日

練習の評価の仕方

楽器の練習をしている時、自分の演奏をどんなふうに評価していますか?

以前の僕は、「結果」のみを基準に評価していました。
音が外れた⇒「ダメ」
音程が悪い⇒「ダメ」
というふうに。
この「ダメ」という評価がどこに向けられていたかというと「自分」です。
・音を外してしまう「自分」がダメ。
・音程が悪い「自分」がダメ。という評価をしていました。

その反面、「結果」ばかり意識しているので、
自分に無理のある奏法でとっさに「音をあてる」「音程を合わす」ということをしていました。
これは本番やリハーサルでは役に立つことがありますが、いってみれば緊急策のようなものです。
しかし、練習の時から「結果」だけで評価し、この緊急策をつかうことはどうでしょうか?
無理な奏法を何度も反復し、それが癖として身について、体を痛めてしまう可能性があります。
それにこういった練習の仕方はいまいち効果が得にくく、いつまでも自分の実力や技術に信頼を持てないのではないかと思います。



では、何を評価基準として練習していけばいいのでしょうか。
「自分がこうする/こうしたいと決めたプランを実行したかどうか」で判断してみると、どうでしょうか?

たとえば、練習が必要と思われる低い音から高い音への跳躍に出会ったとします。
いつも通り演奏すると上の音がうまくあたらず、下の音にはずれてしまいます。
そこで部分的な練習を始めます。
まず、その跳躍を演奏するためにどんなアイデアやプランがあるだろう?
考えたり、いままで教わってきたことを思い出せば、アイデアがいくつか出てくるかもしれませんね!


そこで、「出したい音をイメージしてみよう(ソルフェージュしよう)」というアイデアがおもいついたとします。
この段階ではそれでうまくいくかはわからないけど、このアイデアを実行します!


・・・結果は上の音があたらなかった、とします。
しかし、「音をイメージする」というプランは実行できました!
この実行したかどうかがとっても大切です。
音はあたらなかったけど、次のことがわかりました。


その跳躍を演奏するためには、「音をイメージする」というプラン以外にも何かする必要がある。
(これは、ひとつのプランを本気で実行したからこそわかる大事な情報です!)
また、音をイメージしていなかった時より、近い音が鳴ったり、あたりそうに感じたかもしれませんね。


では、「音をイメージする」というプランに加え、新たなプランを用意します。
「跳躍するときに、息をより多く吐いてみよう。」を実行してみます!


・・・結果は出したい音よりもさらに上の音にあたりました!
これも「外れた」と言ったりしますが、先ほどとは結果そのものが全然違います!
そして「息をより多く吐く」というプランを実行したからこそ生まれた結果です。
わかったことは、「息を多くする度合を減らしていいかもしれない」あるいは「アンブシュアを緩めてもいいかもしれない」ということです。。(もちろん上記以外のアイデアやプランはたくさんあります!)
そして、そのどちらかを実行します!


・・・練習していた跳躍がうまくいきました!!
こうした「プランを実行する」過程を踏まえ、「できた」という事実をしっかりと受け入れることもとっても大切です。


ひとつの例をとって説明してみましたが、このようにプランや意図を持って実行した結果は、音が外れてようがどうだろうが、良し悪しで評価するものではなく、次につなげれる一つの情報になります。
だから、演奏の「結果」を基準に評価するのではなく、「プランや意図を実行したかどうか」を基準とした方が効率的にうまくなっていけるんですね。
自分の技術への信頼も深まり、本番でも引き出しやすくなります。



練習が「ダメな自分をいじめて、変えようとする」作業から「自分の可能性に向かって冒険していく」作業に変わります。





森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ
 トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

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