2013年11月1日金曜日

楽器に息を吹き込むな??

金管楽器を演奏するとき、「息を楽器に吹き込む」「楽器に息を入れる」というイメージや意識をお持ちでありませんか??

僕は持っていました。特に「楽器に息を入れて」という指導は吹奏楽部などでよく耳にしますね。
中学や高校へ指導へ行く時も、頑張って楽器に息を吹き込んでいる生徒さんをよく見かけます。


さて、演奏するために息を吐くことは必要ですが、「楽器に息を入れる」は意図してすることではありません。
何のために息を吐くのかというと、振動を生むためです。
音を出すためには、振動が必要で、その震動は息を吐くことで生まれます。
金管楽器で音を出すために必要な振動は、唇とマウスピースが出会うところで生まれますね!
なので、そこで振動(バズィング)が生まれれば息の役割はもう果たせているのです。
当然唇と楽器はくっついているので、吐いた息は唇で振動を生んだあと、勝手に楽器の中に入ります。
「楽器に息を吹き込む、楽器の先まで息を入れる」という意識が、「唇で振動を生むために息を吐く」に変わると、ずいぶん労力が減ると思いませんか?
実際にマウスピースだけをラクに鳴らすのも、楽器をつけて演奏するのも同じ労力でいいんです。
もちろん音量や音域によって必要な息のパワーは要ります。けれど楽器に息を吹き込む労力は必要ありません。
唇で生まれた震動が、管楽器を伝わって、それぞれの楽器の魅力的なサウンドを生んでいます。
楽器は「拡声器」でしかありません。発音源は自分自身にあります。


タイトルの「息を楽器に吹き込むな Don't push air through trombone」という言葉は、アレクサンダーテクニーク教師グレッグホールダウェイとのレッスンのなかで聞いた言葉です。グレッグは数多くの音楽家とレッスンしてきた経歴がありますが、彼自身は音楽家ではありません。
専門分野でないにも関わらず、僕の演奏を少し見ただけでこのアドバイスをくれました。
こんなことも言ってくれました。
「君のトロンボーンは、自分(トロンボーン)としての役割をすでに知っている。君は演奏する時の君自身の役割を知る必要があるんだよ。」




森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍プロフィール
アレクサンダーテクニークとの出会い

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