2013年7月18日木曜日

「頭」が演奏に与える影響

前回のブログで、姿勢が呼吸に影響すること、頭が脊椎の上でバランスよく乗っていなかったら、体は頭を支えるためにエネルギーを使い、演奏するために不必要な力を使ってしまうということを説明しました。 (前回の記事はこちら)

では、頭が脊椎の上でバランスよく乗ってくれていると、体は演奏するために能力を発揮してくれるようになるのですが、頭が脊椎の上でバランスよく乗っているということはどういうことなのでしょうか。
今回は一人でもちょこっと試せるアレクサンダーテクニークをご紹介します♪


まず、頭が脊椎(背骨)の上に乗っかっている場所はどこにあるのでしょう。

言い換えると、「どこから上が頭ですか?」という質問になります。
実は、僕が初めてアレクサンダーテクニークのレッスンを受けたとき、この質問をされました。
僕はあごの下に手を置いて「ここから上が頭です。」と答えました。
しかし、実際の頭はもっと上にありました!!!


僕が「ここから頭だ」って信じていたのは、あごのことで、まだ「頭」ではありません。
あごの骨は頭からぶら下がってるように付いてる骨です。あごの骨が頭と繋がっている関節は、耳の穴の前あたりにあります。実際に耳の穴の前を触りながら口をパクパクすると触っているあたりが動きます。「頭」が思っていたよりも上にいることが少しずつ見えてきますね・・・!

では、本題の「頭が脊椎の上に乗っかっている場所」はどこかというと、耳の穴・目と同じくらいの高さにあります!
下の写真をご覧ください。







脊椎が耳の穴の高さまで来ていてその上に頭(頭蓋骨)が乗っている様子がよくわかります。
みなさんの認識と違いはありましたか?
僕は初めてこの模型を見たときかなり衝撃を受けました。だって「あごから上」と「耳の高さ」ではほんとに全然違いますよね!!
頭の場所がわかったと同時に、脊椎ってこんなに長いんだと思いました。
そう思うとなんだか体がじんわり楽になってきませんか??


頭が脊椎に乗っかっている場所も関節です!つまり、動けます!

上の写真を見て、実際に頭と脊椎の接する部分は耳の穴と同じ高さにあることがわかりましたね。そこは関節になっているんです。

では、少し実験してみます。
1.「頭と脊椎の接する部分は関節だから動けるんだ、止めてなくていいから自由にしてあげよう」って思うと呼吸はどうなりますか?

2.今度は逆に「頭と脊椎の関節を固めて動けないようにしよう」と本気で思ってみてください。呼吸はどうなりますか?さっきと比べて吸う量・吐く量はどう変化しますか?

3.さて、もう一度「頭を固めるのをやめて自由にしてあげよう」と思ってみてください。
すると呼吸はどうなりますか?


同じ実験を手を上げたり、立ったり座ったりの動作に置き換えてやってみるとどうでしょう?
やりやすさに変化はありますか?
こうした実験をしてみると、頭のことを考えるだけで呼吸は腕・足の動きに影響がでることがわかります。つまり、頭の動きが全身の動きに大きな影響力を持っているのですね!

この頭の動きが全身の動きに影響を与えているということが、F.M.アレクサンダーさんが発見した体のシステムなのです。(アレクサンダー用語でプライマリーコントロールといいます)





これは楽器を演奏する人にとって、とっても便利なシステムです!

だって演奏するときに、頭のことを意識にいれてあげるだけで、胴体も腕も足も、体全部がこれから始まる演奏のために機能してくれるのですから!


では、実際に頭のことを意識に入れながら楽器を演奏してみましょう♪
演奏するのは曲のフレーズでも、音階でも、一音でもなんでも構いません。

演奏したい曲/音階/音が決まったら、「頭は耳や目と同じ高さで脊椎の上に乗ってるんだったなー」「そこは関節になってて動けるから、止めてなくていい、自由にしてあげよう」って思いながら、さあ演奏してみましょう!!

どうでしょうか!?
普段と比べて音はどうですか?演奏しやすさはどうでしょう?


もし何も変わらないという場合は、演奏を始めるまでの動きを普段より意識して観察してみてください。実は「頭が固まっちゃうポイント」は人それぞれですがいくつかあります。

・楽器を持ち上げ始めると、上半身が後ろに反り始めませんか?
・マウスピースが口に近づいてくるとき、顔が前に向かっていきませんか?またはちょっと顔を後ろに引いていませんか?

もしそうしていた場合、頭はどうなっているでしょう?さっきの実験でやったように固まっていませんか?

では、もう一度「頭が耳とおんなじ高さで脊椎の上に乗っている」「頭と脊椎の関節を自由にしてあげよう」と思いながら、楽器の吹き口(マウスピース)を自分の唇へ持ってきましょう。
もし体を反りたくなったり、マウスピースに向けて顔を前に持っていきたくなっても、その都度頭のことを思い出してあげてください。そうして最後まで自分の口に楽器を持ってきましょう。


そうして演奏してみると、どうでしょうか??

もし何か変化があったならぜひどんな変化があったか教えてください♪







森岡 尚之 / モリオカ ナオユキ トロンボーン&金管トレーナー/アレクサンダーテクニーク教師養成コース在籍
プロフィール
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