2016年2月2日火曜日

いま、うまくいったよね!

先日トロンボーン奏者の方とのレッスンで、演奏時に起こるある悩みについて相談を受けました。

実際にお話を聞きながら、ロングトーンを演奏している様子を見せていただきましたが、何が原因でそれが起きているのかはわかりませんでした。

それでも観察したことからいくつか推測し、アレクサンダーテクニークを提案する自分としては頭の過度な固定が起こらない、脊椎に対するプレッシャーが結果的に減るようなアイデアを伝えながらレッスンを進めます。


悩んでいた症状が少しずつ軽減していきました。

頭の過度な固定や、脊椎へのプレッシャーが減ることで改善傾向にあることはわかりました。
ですが、もともと何がその症状を引き起こしていたのか、原因は僕にはわかりませんでした。

そこでそのトロンボーン奏者の方へ
『原因はわかってません。けれど改善する傾向や方向は見えてきましたね。』と伝えました。

すると驚かれたように、
「原因を追求・特定することに意識を向けていました。よりよくなっていく方向へ目を向けるという発想はなかったです。」と。


原因がわからなければスッキリとしない気持ちはわかりますが、原因がわからなければ改善、前進しないかといえば必ずしもそうとは限らないと思います。

僕にはこの、なんでかよくわからないけれど良くなった。という体験は意味のあるものではないかと感じられました。

このなんでかよくわからない、にはいつもと違う感覚が含まれていたかもしれないし、正しい感じがしなかったかもしれません。


それはいつもと違う新しい考え・プラン・やり方を試したから得られた結果です。

そしてそれが自分にとってより良い結果だったとしたら、そこに目をつける価値は大いにあると思うんです。


ところが原因を特定することに意識が向くことで、こうした結果やそこにいたった経緯は見過ごされてしまいがちなのかもしれません。

原因をつかもうとすること自体は、演奏するための目的にもプランにもならないと思います。

ー起こっている問題の原因をつかむために、楽器を手に取り演奏するー

文章にするとより違和感を感じますね。たとえ練習であっても。



そこでより演奏する目的を明確にするため、ロングトーンから曲のフレーズに変えて頂き、また頭の過度な固定や脊椎へのプレッシャーが起こらないようなプランを試してもらいました。

今度は先ほどのロングトーンの時よりもはっきりと改善が見られました。


なぜうまくいかないんだろう。

から

いま、うまくいったよね。なんで??へ。

思えば、僕がボディチャンスでアレクサンダーテクニークを学び始めた出発点がそうでした!





森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ