2016年2月8日月曜日

個人練習、1人じゃない

僕は1人で練習することが苦手です。

充実した実りのある時間を過ごせる時もあるけれど、多くの場合たいくつでつまらなく、つらく、効果の実感できない時間を過ごしてしまいます。
さらには、だんだん息が出なくなり音程・タンギングやスライディングそれぞれのテクニックがバラバラになったり、自信をなくしたりといった悪循環を起こすこともあります。


今までは、この練習の充実した実りあるものになる時と、悪循環を起こす時の違いをあまり意識することはありませんでした。
練習をしなければいけないと思っていたのでその日の質や結果がどうであろうと毎日練習することを達成できていれば自分の中で良しとする部分がありました。


でもこの数年、毎日練習できる環境でもなくなり、また練習したくないと自覚した時には『練習をしない』という選択肢があることを許容できたおかげで、練習の質の違い、好不調の波について考えるようになりました。



悪循環を起こしていたのは、他人からどう思われるか?それに基づいて自分の演奏に評価を下していた時。

他人からどう思われるかに囚われながら練習をしていると、
・楽譜を正確に演奏できていること
・音楽的にもトロンボーンの技術的にも基礎がきちんとできている
という結果を過剰にコントロールしようとしています。

またそれができていないところばかりが目につき、相手が求めている演奏が何であるかも知ることができない(その相手が誰であるかもはっきり自覚していない)ため、全体的に『これでいいのかな?』『これじゃダメだよね?』と迷いながらになってしまい自分で練習を仕切ることができなくなっていました。

だからといって他人の目を気にしないようにすることは簡単じゃないし、
僕の場合、他人のことを意識せず自分1人に集中しようとしても悪循環を抜け出せません。


このことから気がつけたのは、1人で練習している時でも自分と他人とのつながりや関係性があること。

聴衆や、共演者、指揮者、師匠、家族、友達など
つながりを勝手に切ることはできないと思うんです。


普段この人たちとどんな風に関わっているでしょうか?
音楽とは関係ないところでは、笑わせたいとか喜んでもらいたいとか、自分の考えを伝えたいとか思っています。
僕にとっては音楽も、人と主体的に関わろうとする点で大きな意味を持っています。


だから、練習でももちろん本番でも人とのつながり、聴衆の存在があってこそ、その関係性の中で自分がやりたいこと・できるようになりたいことがあるんです。


音楽そのものの話というより、人間関係についての話でしたが、僕が感じていた練習の好不調の波はそこに要因があったように思います。

聴衆や他の人とのつながりがあることに気づけたこと。そこに主体的に関わりたいと思っていることに気づけたこと。だからこそ演奏をしてるんだと思うことで、練習がとても建設的な時間になりました。

自分の今の望みに沿っているかどうか、が心と身体のパフォーマンスにとても大きく影響しているんですね。





毎月二回、ボディチャンス大阪で管楽器奏者向けの入門講座を行っています。
2月のテーマは『呼吸』です。



森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ