2015年10月9日金曜日

望みと練習の質

練習しても練習しても、上達している実感がない。自分の練習の仕方がとても効率悪く思える。テクニックが安定しなくて、できるはずのことが全然できなくなることがある。


いきなり暗い話題から始まりましたが、2年前の自分はこんな感じでした。

当時に比べるとボディチャンスでアレクサンダーテクニークを学び始めて、楽器演奏の技術は、ぐんと伸びるときもあればゆっくり変わっていくときもありまちまちだけど、以前よりも確実に上達している実感を感じられるようになりました。
ミスをすることもあるし、まだまだこれから身につけられる技術はたくさんあるけれど、今自分にできることへの信頼が以前よりも強くなりました。

このごろ、自分の音楽活動にアレクサンダーテクニークを取り入れることで、こんな風に練習の質が変わったのはなぜだろう?と興味が湧いています。


動きの質が以前より繊細になったから?
観察力が育ったから?
体の動きの可能性や構造への理解が深くなったから?

どれもすごく関係している要素だと思います。
でも練習の質を変えたのはそれだけではないように思います。





自分が何を望んでいるのかを丁寧に観察するようになったことが練習の質を大きく変えるきっかけになったのではないか?と考えます。


練習する時の「望み」ってなんでしょうか?


考えてみれば、大学の半ばあたりから周りのレベルについていくのに必死で、オーケストラやアンサンブルをしていても周りに迷惑をかけないように、足を引っ張らないようになんとかその場をやり過ごすことに追われる日々でした…やり過ごせていたかどうかはさておき…

せめてこのレベルを維持しないと。
ここは失敗できないからよく練習しておかないと。
今まで一緒に演奏していた仲間や演奏の機会をくれる人達から、見放されてしまったらどうしよう…という怖さもありました。
そんな思考が、自分を練習へと駆り立てていました。

「ダメ出し」ばかりを有難く受け取り、同じことを言われないようにせっせと練習する。次第に自分の演奏への評価をほとんど他人に委ねるようになっていました。


「望み」が見えにくくなっている状態ですね。

この状態で、当時様々なメソッドや教則本を試みましたが、良くなっていく実感はなく、実際ほとんど効果がありませんでした。


ボディチャンスで学び始めた時に、僕がすぐにこのアレクサンダーテクニークを気に入ったのは、その人の望みが何であるかをとても丁寧に繊細に扱い、尊重し、その望みを探求するために必要な安全な場があるからです。

そしてそれは、自分1人でもできることなんだと学びました。
音楽をしていく上で、やはり自分の外から得る考えや情報は山ほどあります。
時には「こうあるべきだ」「その考えは間違っている」といった強い意見に触れることもありますが、そんな時でも自分は自分を尊重することができ、自分を尊重しながらその意見を受け取るも別の考えを採用するも選択でき、戸惑いがあれば、そこに時間をつくってやることができるんだと思います。


ボディチャンスのレッスンを初めて受けた一月後に、ソロの演奏会があありました。曲を選ぶ時に「この曲を演奏してみたい!」って心から思えたのは大きな一歩でした。
そしてその望みを尊重し、練習の1日1日をその望みへ方向づけていくことができたのは、ボディチャンスでの学びがあったからこそだと思います。

ボディシンキングのコーチ資格をもらいこれからレッスン活動をしていく上で、改めてアレクサンダーテクニークを伝えたい理由を再認識することができました。



10月にトロンボーン奏者向けの講座やります!!


森岡尚之 / もりおかなおゆき
 
2012年大阪音楽大学トロンボーン専攻卒業。トロンボーンを今田孝一・呉信一各氏に師事。
2013年よりボディチャンス大阪でアレクサンダーテクニーク教師養成課程に在籍。
2015年8月ボディシンキングコーチ取得。
同月7-10日に滋賀県で開催された、宝塚歌劇オーケストラトロンボーン奏者/山下浩生先生の主催するトロンボーン合宿にて、ボディシンキングコーチとしてデビューレッスンを行う。
 
アイデア音楽教室トロンボーン講師/ボディシンキングコーチ